VMware SD-WAN by VeloCloudによる3つの課題解決
アプリケーション単位で通信経路を制御
VMware SD-WAN by VeloCloudによる課題解決の3つの柱について、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
まず「拠点間接続の通信経路の最適化」のために重要な役割を果たすのが、各拠点に設置する「VMware SD-WAN Edge」というハードウェアアプライアンス(ルーター)です。
従来のWAN接続で用いられるルーターはIPアドレスをベースに通信経路を制御しており、ネットワーク管理者は設定やメンテナンスに苦労してきました。
これに対してVMware SD-WAN Edgeを利用すれば、アプリケーション単位で識別して通信経路を制御することが可能となるのです。
「たとえば大阪支店と福岡支店の間でWebExを使ってビデオ会議をする場合、東京本社を経由することなく両支店の間で直接通信させることができます。また、各拠点のユーザーがOffice 365を利用する場合も、本社を経由することなく直接クラウドにアクセスするローカルブレイクアウトを実現できます。これにより本社への過度なトラフィックの集中を防止してWAN全体で負荷分散を図り、通信を最適化します」(相浦氏)
なお、VMware SD-WAN by VeloCloudでは「VMware SD-WAN Gateway」と呼ばれるコンポーネントも提供され、各拠点からインターネットを経由してクラウドサービスに接続するトラフィックを中央制御するゲートウェイの役割を担います。
パケットロスを自動補正して回線品質を維持
2つめの「拠点間接続の回線品質の最適化」は、アクティブ/スタンバイ構成で運用してきた複数の回線を仮想的に束ねます。これにより、すべての回線をアクティブに無駄なく利用することが可能となります。
また、マルチパス最適化機能(Dynamic Multi-Path Optimization)が、VMware SD-WAN Edgeと連携して定期的に回線キャパシティのテストを行い、回線の接続性と品質をモニタリングします。パケットロスなどの品質劣化を検知した場合、自動的に修復や補正が行われるため、ユーザーは意識することなく快適な通信を継続できます。
「ベストエフォート20Mbpsの回線を使って50MBのファイルを転送するケースで行われた比較検証(ヴイエムウェア実施)によると、VMware SD-WAN by VeloCloudを適用することで所要時間が22秒から12秒に短縮されています。さらに、2%のパケットロスが生じているWAN環境にVMware SD-WAN by VeloCloudを適用したところ、自動補正によって通信の実効速度を10倍以上高速化する改善効果が見られました」(相浦氏)
重要アプリケーションのQoSを確保
3つめの「特定アプリケーションの快適化」を実現するのは、DPI(Deep Packet Inspection)と呼ばれる通信パケットの解析エンジンです。先に述べたアプリケーション単位の識別や回線品質のモニタリングの基盤となっているのも実はこのDPIエンジンであり、特定アプリケーションの通信を優先して伝送したり、帯域幅を確保したりすることで、QoS(サービス品質)を設定することができます。
「例えば、Webアクセスが集中している時間帯やクラウドストレージに大容量ファイルのアップロードを行っている際に、他拠点や本社とのビデオ会議が停止してしまうのでは業務に大きな支障が生じてしまいますが、あらかじめビデオ会議に高いQoSを設定しておくといったことが可能となります」(相浦氏)