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エキスパートが解説!AIからデジタルツインまで「攻めのIT」を実現するVMware vSphere 8とNVIDIAの仮想GPU(vGPU)で実現するDX推進基盤の実力とは

2023/07/28

コンテンツ提供:株式会社ネットワールド

NVIDIA 仮想GPU(vGPU)は、VDIやRDSH、映像やゲームに留まらず、AIやデジタルツインといった、DXを支える先進アプリケーションの基盤技術として注目を集めています。そこで本記事では、株式会社ネットワールドの工藤 真臣 氏とエヌビディア合同会社の後藤 祐一郎 氏との対談を通して、最新のvGPUの動向や、vGPUとVMwareの仮想化基盤を組み合わせるメリットについて紹介します。

工藤 真臣 氏 株式会社ネットワールド ソリューションアーキテクト課 部長代理
工藤 真臣 氏
株式会社ネットワールド
ソリューションアーキテクト課
部長代理
後藤 祐一郎 氏 エヌビディア合同会社 エンタープライズ事業本部 vGPUビジネス開発マネージャー
後藤 祐一郎 氏
エヌビディア合同会社
エンタープライズ事業本部
vGPUビジネス開発マネージャー

目次


vGPUの歴史と進化

工藤 vGPUとは、GPUを仮想化することで、仮想化のいいところをそのままに複数の仮想マシン間でGPUを共有することで効率的な処理を可能にする技術です。VDIや映像、AIなど幅広い分野を支える技術として注目を集めています。そこで今回は、NVIDIAの後藤さんをお招きして、vGPUとそのユースケースについて詳しくお話を伺います。NVIDIAと仮想化技術の関わりは長いとのことですが、どのような変遷を辿ってきたのでしょうか。

後藤 vGPUは2013年に提供を開始したソリューションで、10年の歴史があります。GPUのハードウェアの進化、ハイパーバイザーやゲストOSの進化などに応じて、vGPUソフトウェアも継続的にアップデートが行われ、お客様のご要望を取り入れながら、新機能の提供やユースケースの拡大を続けています。

エヌビディア合同会社 後藤 祐一郎 氏、株式会社ネットワールド 工藤 真臣 氏

工藤 ソフトウェア面では、最初のリリースから、既に16世代を重ねているのですね。初期からVMwareなど仮想化ベンダーと協業してきたとのことですが、VDIにも早期から取り組んでいたそうですね。

後藤 はい。初期のバージョンは、主にWindowsにおけるCADのVDIなどで利用されていました。その後、第2世代でLinuxへの対応やサポート提供、第3世代から一般ユーザーを対象としたオフィスVDI、NVIDIA vAppsによる本格的なRDSHのサポートが始まりました。

工藤 ちょうどWindows 10の登場で、OSや一般的なアプリケーションでもGPU活用が広がった時期でもありますね。私も当時NVIDIA M10を使ったVDIの提案に携わったりしました。現在のハードウェアは、どのようなラインナップがあるのでしょうか。

後藤 オフィスVDIでご利用頂くことが多いNVIDIA A16 GPUは、旧世代のNVIDIA M10 GPUと比べて、CUDAコア数とGPUメモリが倍増しています。NVIDIA M10 GPUが2,560CUDAコア・32GBメモリ(640CUDAコア・8GBメモリ×4セット)の構成に対し、NVIDIA A16 GPUは5,120CUDAコア・64GB(1,280CUDAコア・16GBメモリ×4セット)となります。つまり1 GPU辺りの集約率が倍になり、性能も向上したということを意味します。さらにNVIDIA L40(18,176CUDAコア・48GBメモリ)やL4(7,424CUDAコア・24GBメモリ)GPUなど最新世代のGPUでは、3D CADやBIMを利用する設計開発環境、映像制作やメタバース、CAEやAI等の計算処理など幅広いワークロードに対応し、高度なユースケースに耐えうるパフォーマンスを提供します。

vGPUのユースケースとメリット

工藤 ブラウザやオフィスソフトといった日常的に業務で使用するアプリケーションでも、Windows 10以降は実はGPUを頻繁に使用しています。昨今のVDIではCPUでグラフィックス処理をしていますが、vGPUを導入することで、CPUの負荷を軽減して、OSやアプリケーションなど全体的なパフォーマンスを向上することができます。つまりvGPUなら、サーバを増設しなくても、コストを抑えながらVDI基盤を拡張できるということですよね。

後藤 はい。付け加えれば、サーバ台数を抑えられるということは、サーバラックスペースや管理費、電気代の削減にも繋がります。現在、事業コストの高騰が問題になっているので、これはかなり大きなメリットではないでしょうか。

工藤 A16なら集約率も上がっているので、さらにサーバ台数を削減できて、経済的ですね。現状は、どのような業務用途のVDIでのvGPU活用が多いのでしょうか?

後藤 国内企業でのvGPU導入は年々増えていますが、オフィスVDIやRDSHなどでの導入は様々な業種で急増していますね。VMware HorizonによるVDIとの組み合わせが多数あります。コロナ禍を通してリモートワークでの働き方に慣れてきた方々が、Web会議や動画、Webブラウザやオフィスソフトなど普段使いでのCPU負荷が上がり、ストレスを感じやすくなってきました。さらにリモートワークであらゆる作業を可能にしたい、違う使い方や、もっとパワフルな使い方をしたいというニーズも生まれてきています。

工藤 当たり前になったWeb会議システムでもGPUは有効ですね。現在のトレンドとして、新たに増えている利用方法の例があれば、ご紹介いただけますか?

後藤 プロフェッショナルな領域では、映像制作やゲーム開発など、クリエイターによるvGPU活用が増えてきました。また製造業では、従来のCAD以外にも、CAEにおける解析・シミュレーションや、AIやデジタルツインなどへのvGPU活用が進んでいます。様々な研究機関や教育機関である大学や専門学校はグラフィックス処理・計算用途と両方の用途で利用が広がっています。特にAIは、新しい用途として急速に発展している領域ですね。

エヌビディア合同会社 後藤 祐一郎 氏

工藤 そのようなパワフルな用途に適しているのが、NVIDIA L40やL4 GPUを始めとする最新世代のGPUということですね。ただAIのような用途だと、分割せずに1枚のGPUカードをそのまま使うという考え方もあると思います。最新ユースケースにおける、vGPUのメリットはどのような点にあるのでしょうか?

後藤 実は、GPUの使用率は、ユースケースによって大きな幅があります。例えば、AIの学習環境や、高度な3DCG レンダリングを行う際は、とても大きなGPUリソースが必要になります。しかし、既存の学習モデルを元に推論のみを行うAIや3D CADなどの設計開発環境、映像編集・プレビューなど制作段階の作業では、それほど大きなGPUリソースが必要ない場合も多いです。そのような場合は、vGPUによる分割で、より多くの仮想マシンでGPUを安価に効率良く使用することができます。

逆にパワフルな作業をする必要があれば、GPUリソースを集中することで、例えば1日かかる作業を30分で完了することもできます。VMware vSphereのような仮想化基盤と組み合わせることで、仮想マシンに分割したvGPUを1つを割り当てて利用、設定変更して8つのvGPUを1つの仮想マシンに集約して利用なども可能です。ITリソースを柔軟に活用できるのが、vGPU導入のメリットです。

VMwareとvGPUとの組み合わせがDXを加速する

工藤 なるほど、AI,映像制作といった用途ではなくその中での役割によって必要なGPUリソースが変わってくるわけですね。昨年VMware vSphere 8がリリースされましたが、vGPU関連での強化されたポイントはありますか?

後藤 大きな変化としては、VMware vSphere 8でvGPUプロファイルの混在ができるようになりました。例えば従来は、オフィスVDI用途のvGPU グラフィックス ドライバを利用した vGPUのBプロファイルを1GBで分割した場合、1つの物理GPUで利用できるvGPUプロファイルは1種類のみで等分割の制限がありました。オフィスVDIのみで利用する場合は良いのですが、プロフェッショナル領域のCADやAIなどパワフルなアプリケーションを使いたい場合には、NVIDIA RTX Enterprise ドライバが利用可能なvGPUのQプロファイルでの分割が必要なため、物理的に別の物理GPUを用意することが必須でした。新たに1つの物理GPUで、同じGPUメモリサイズであれば異なるvGPUプロファイルを適用することが可能となり、より柔軟にGPUリソースを扱えるようになりました。

工藤 先程のお話に例えるなら、NVIDIA A16 GPUはオフィスVDI用途として採用されるケースが多いので、同じvGPUプロファイルでも問題ありませんが、最新世代のNVIDIA L40やL4 GPUのように幅広いワークロードに対応する場合は、異なるプロファイルを混在することで、GPUリソースが必要な仮想マシンを柔軟に構成することができるということですね。

株式会社ネットワールド 工藤 真臣 氏

後藤 その通りです。このメリットは、製造業や建設業界、教育機関や自治体、医療業界や映像業界など一部のvGPUユーザーにとどまる話ではありません。今、多くの企業が、ビジネス変革や、AIなど先進技術にチャレンジしています。DXを実現する上では、柔軟に利用方法を変更できるIT基盤が欠かせません。その意味で、VMware vSphere 8とvGPUは、非常に相性が良いです。

工藤 vGPUを導入することで、AIなどの先進アプリケーションも、VMware環境に統合できるということですね。vGPUを利用できるVMware環境に少し余裕を持たせておけば様々な検証が気軽にできますね。

後藤 これまでのIT基盤は、どうしても守りの側面が強くなりがちでした。そのため、業務部門が独自にワークステーションを導入したり、クラウドを利用したりするなど、IT投資が分散しているという現状を見聞きします。しかし、それでは投資効率が良くないですし、データやセキュリティのサイロ化が進む恐れもあります。そこで、VMware環境とvGPUを活用して、新しい用途のシステムも統合することで、この状況を改善することができます。また、情報システム部門と業務部門による、組織を横断したコラボレーションを促進することで、攻めのITを実現することにも繋がるでしょう。

設計開発者やクリエイターの現場から産業界までvGPUが変革する未来

工藤 様々な業界で利用が広がりつつあるvGPUですが、今後どのような展開が考えられるでしょうか。最新の事例も交えてお聞かせください。

後藤 現在、デジタルツインや産業用メタバースといった言葉が市場で注目を集めています。これは、あらゆる業界や部署で利用している3Dグラフィックス、設計デザインや点群データ、IoTやロボット、様々なデータを仮想空間上に集約・統合して、現実世界を仮想空間に作り上げることにより、3Dデザインコラボレーションやシミュレーションの共同作業、現実ではなかなか実現できない複雑で大規模なシミュレーションやリアルなビジュアライゼーションを行う取組みです。例えば、VMware HorizonとvGPU-VDI環境上にNVIDIA Omniverseを利用した、産業用メタバース環境を構築、Workspace ONE XR Hub NVIDIA CloudXRを組み合わせると、高精度な PC VR アプリケーションも利用が可能になります。このような取り組みの基盤としてもvGPUは欠かせません。具体的な取り組みとしては、建設業界における、商業施設やダム周辺環境のビジュアライゼーションや土砂崩れなどのシミュレーション、ドローン映像の3D化、防災での活用などが挙げられます。この他デジタルツインでは、製造業における仮想空間でのデジタル工場運営、流通業界でのロボットシミュレーションや倉庫の最適化など、様々な取り組みが行われています。

工藤 このような取り組みは、解析しがいのあるデータを持っている企業には魅力的ですね。先程クリエイター向けの用途のお話がありましたが、そちらはいかがでしょうか。

後藤 海外の映像業界やゲーム業界では、vGPUが複数の拠点によるリモート制作環境の基盤として活用されています。国内でも、大手ゲーム会社やアニメーションスタジオ、専門学校などに採用され、今後広く普及が見込まれています。クリエイターの人材不足が課題となる中で、vGPUを利用することでリモート制作が可能になり、人材採用にも貢献するのではないでしょうか。

事例詳細: https://resources.nvidia.com/ja-jp-grid-case-studies

工藤 元々、ワークステーションの仮想化には、リモートワークを促進するというメリットもありましたよね。VMware vSphereを利用しているユーザーは、まずはVDIから始めて、少しずつvGPUの用途を広げていく環境がいよいよ揃ってきた感があります。

後藤 まさにNVIDIAとVMware様との協業の目指すところが現実に広がってきています。VMware vSphereは仮想環境上でこれまでも多くの用途、ユーザー作業環境を支えてきましたが、そのユースケースは、vGPUを付加して頂くことでますます広がることでしょう。またVDI基盤となるVMware Horizonの利用範囲も広がるので、新たなビジネス価値を生みだすことにも繋がります。今後もNVIDIAは、グローバルでのVMware様との共同開発や、ネットワールド様を始めとするパートナー企業との協力を通じて、VMwareユーザーに向けて、戦略的ITを実現する手段としてのvGPUを訴求したいと考えています。

工藤 ぜひ一緒にやっていきましょう。本日はありがとうございました。


NVIDIA vGPU (仮想 GPU) についてさらに詳しく

NVIDIA vGPU (仮想 GPU) については、VMware Cloud Frontier by Networld でも詳しく紹介しています。

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