導入事例

【VMware vSAN、VMware Horizon 導入事例】 株式会社カラー 様

2023/05/09

VMware Horizon で映画制作をリモートから実現
既存PCの運用課題も解決し、運用負荷を大きく軽減

株式会社カラーは、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズを制作し、「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」などにも関わる、日本を代表する映像企画制作会社です。映像制作業務は、作業に関わる人員や必要なリソースの変動が激しく、新たなPCの準備(キッティング)と、PCが不要になったときの廃棄に手間とコストがかかるという課題を抱えていました。そこで同社は、2021年末にvGPU対応の仮想デスクトップソリューションのVMware Horizonを導入しました。基盤には、VMware vSANベースのHCIを採用することでパフォーマンスや管理の容易さは期待通りで、順次業務環境をVMware Horizon 上に移行しています。

導入前の課題

  • PCの準備(キッティング)と廃棄にかかる多大な手間とコスト
  • 3DCGソフトの快適な動作には高性能PCが必要で、複数拠点で展開するとライセンス料が高額になる
  • 制作業務におけるセキュリティ、機密性の担保

導入効果

  • Horizonの管理画面を操作するだけで仮想デスクトップの作成が可能に。運用を省力化
  • Mayaや3ds Max、Blenderなどの3DCGソフトも快適に動作し、ライセンス料も低減
  • HDDデータ消去などの手間が省け、セキュリティ面も万全に
  • 5 Gを活用したリモート制作環境の検証が完了

「導入時だけでなく、使わなくなったPCの廃棄やHDDの物理破壊などの手間が不要になり、機密性もしっかり担保ができます。資産管理やPCの追加から廃棄までを考えたライフサイクル管理が容易になったことも嬉しいです」

©カラー
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PCの準備と廃棄にかかる手間とコストが課題

株式会社カラーは、2006年に設立された映像企画制作会社です。庵野秀明氏が代表取締役社長を務める同社は、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズを制作し、「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」などにも関わり、社会現象となるほどの大ヒットを記録しています。映像制作業務は、その性格上、外注作業も多く、作業に関わる人員や必要なリソースの変動が激しいことが特徴です。そのため、同社の執行役員であり、技術管理統括を務める鈴木慎之介氏は、作業量の増加に応じて新たなPCを用意し、アプリケーションの導入などを行い業務に使えるようにするキッティングと、PCが不要になったときの廃棄に手間とコストがかかるという悩みを抱えていました。不要になったPCをうかつに廃棄して、制作中の映像素材などが漏れてしまっては大変なことになります。「ハードディスクは物理的に破壊するなど、セキュリティ上、データが盗みとられないようにするにはコストがかかります」と鈴木氏は語ります。

VMwareの仮想化ソリューションを利用したVDI基盤を導入

そこで、鈴木氏とシステム部の三澤一樹氏は、2019年からそうした課題を解決する新たなシステムの導入の検討を開始しました。しかし、翌2020年春に、新型コロナウイルスの流行が始まり、出社率を下げるように要請されたことで、仮想デスクトップ(以下、VDI)とは異なるリモートアクセスソリューションを急遽導入することになりました。このソリューションの導入により、大半の業務をリモートから行うことが可能になりました。「コーポレート系の管理職については、シビアにレイテンシを気にするようなアプリケーションはなかったので、問題はありませんでした。クリエイティブ職の方は、さらにモデラーとアニメーターに分けられますが、モデラーの方々も問題ありませんでした。シビアになるのは動きのあるアニメーションですね。アニメーターの方々に関しては会社に出社して作業をしてもらいました」と鈴木氏は話します。

2020年のリモートアクセスソリューションの導入が一定の効果をあげたことで、鈴木氏と三澤氏は、さまざまな職務の人が自由に働き方を選べる、よりパフォーマンスの高いリモート基盤を導入したいと考えました。その要望に応えて、以前から同社と付き合いがあった図研ネットウエイブが提案したのが、VMwareの仮想化ソリューションとNVIDIAの仮想GPU技術を採用したVDI環境の構築です。鈴木氏は以前からVDIについて関心を持っており、アプリケーションのコストの観点からも仮想化が有利だと考えていました。「なぜVDIを選んだかというと、画面転送型のソリューションをどうしても使いたかったからです。我々は3DCGを取り扱っていますが、その3DCGを作るにはいろいろなソフトウェアが必要になり、その中には有償ソフトウェアもあります。会社で業務を行う際は、社内で利用するPCにのみライセンスを持っていればよかったのですが、自宅や外出先でも作業を行うことになった場合、作業するPCごとにライセンスを用意するのはとてもコストがかかります。それなら、画面転送で会社にある仮想化サーバに対して接続するソリューションのほうがコストパフォーマンス的にもよいと判断しました」と鈴木氏は説明します。

図研ネットウエイブが提案したシステムは、VMware vSAN ベースのHCIサーバで、Dell Technologies のアプライアンス製品であるDell VxRailです(図参照)。システムの柔軟性を考慮しスケールアウトが可能なHCIを選定しました。サーバにはNVIDIAのハイエンドGPU「NVIDIA A40(以下、A40)」が搭載されており、NVIDIAの仮想GPU技術により、VDI上でvGPUを利用できます。VDIソリューションとしては、VMware Horizonが採用されています。A40を選んだ理由について、三澤氏は次のように語ります。「5年利用することを前提に、その間VDIの利用者の増加にも性能が不足しないように、それに見合った性能のものを選びました。」(三澤氏談) また、図研ネットウエイブの担当者は、VMwareの一連の仮想化ソリューションを採用した理由を、次のように語りました。「VMwareの仮想化ソリューションには多様な機能があり、カラー様のご要望に応えられると判断しました。また、弊社での構築実績も多く、安心して提案できました」

順次業務をVDI上に移行開始、パフォーマンスやセキュリティにも満足

図研ネットウエイブが提案した仮想化基盤は、2021年末にほぼ導入が完了し、現在は、業務環境をVDI上に順次、移行しているところです。「まずは、マシンスペックを必要としない管理マネージメント系、我々のシステム系が、先行してVDIに移行をしています。次に、Adobe Creative CloudなどもVDI上で利用を開始してクリエイティブな作業にも十分に使える感触を得ています。VMwareの仮想化ソリューションはとても安定していて、パフォーマンスにも満足しています。移行そのものはスムーズに進んでいて、利用者からの反応も良好です」と鈴木氏は満足した様子で話します。

今回のシステムを導入したことにより、クリエイター、マネージメント、エンジニアのそれぞれにメリットがもたらされますが、中でも大きいのがエンジニア、管理者側のメリットだと鈴木氏は語ります。「PCのキッティングが不要で、セキュリティも担保されており、リモートから作業ができるということを考えると、管理者の工数や大幅に下げるだけではなく、なるべく感染リスクを抑えて仕事ができるという観点では最高のソリューションだと思います」

また、ライフサイクル管理がしやすくなったことも大きいと鈴木氏は語ります。「導入時だけでなく、使わなくなったPCの廃棄やHDDの物理破壊などの手間が不要になり、機密性もしっかり担保ができます。資産管理やPCの追加から廃棄までを考えたライフサイクル管理が容易になったことも嬉しいです」

今後は、クリエイターもVDI上で作業を行うように順次移行する予定です。クリエイターは、MayaやMax、Blenderなどのクリエイティブツールを使って業務を行いますが、こうしたツールは非常に負荷が高く、GPUによって処理が高速化されます。カラーが導入したVDI環境には、NVIDIAの仮想GPU技術が採用されていますのでこうしたクリエイティブツールが快適に動く環境を実現できます。

鈴木氏は、今後の目標として、第5世代携帯電話網を活用したリモートでのクリエイティブ作業を行う環境の普及を推進していきたいと話します。「実際に実証実験をやらせていただいたのですが、ひとまず実用に耐えそうだという成果が出たので、その普及推進を進めたいと考えています。」

光などの高速回線が自宅にない若いクリエイターにもリモートで快適に共同制作ができる環境を広げていくと同時に、メタバースや仮想空間を使った新しい取り組みなども次のステップとして検討を始めています。

プロジェクトメンバーのご紹介


株式会社カラー
執行役員 技術管理統括
鈴木 慎之介 氏

株式会社カラー
システム部 システムエンジニア
三澤 一樹 氏

お客様情報

お客様名 株式会社カラー
WEBサイト https://www.khara.co.jp
カスタマープロフィール 庵野秀明氏が代表取締役社長を務める映像企画制作会社として、2006年に設立。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズを制作し、「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」などにも関わり、社会現象となるほどの大ヒットを記録している。同社の作品は海外でも人気が高く、日本を代表する映像制作集団である。
導入パートナー 図研ネットウエイブ株式会社
導入製品
  • VMware vSphere
  • VMware vSAN
  • VMware Horizon
  • Dell VxRail
  • NVIDIA A40
  • NVIDIA vGPU

※本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記載内容は2022年6月現在のものです。

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