導入事例

【VMware Tanzu Labs 導入事例】 EDOCODE株式会社 様

2023/07/26

VMware Tanzu Labsによりアジャイル開発手法を習得
3ヶ月での新規プロダクトのリリースとノウハウの社内展開を通じた組織変革

EDOCODE株式会社は、ポイントモール事業やWebプッシュ通知サービスを提供するスタートアップ企業です。ウォーターフォール型開発による工数の増加や、アジャイル開発手法の習得に課題を抱えていた同社は、VMwareのスタッフが伴走しアジャイルでプロダクト開発を行う手法の習得を支援するサービス「VMware Tanzu Labs」を採用。3ヶ月間の支援を通してアジャイル開発手法を習得しながら、新規プロダクトをリリース。さらに、支援を通して得たノウハウを社内に展開することで、継続的にプロダクトを育てることができる強固なチームを構築しています。

導入前の課題

  • 独学によるアジャイル開発手法の習得と社内展開の難しさ
  •  ウォーターフォール型開発による工数の増加とプロジェクト期間の長期化
  •  経営環境やユーザーの変化のスピードに対応したプロダクト開発ができる組織づくり

導入効果

  • リーンXP によるプロダクト開発手法の習得と同時にそのノウハウを社内展開できる人材を育成
  • リーンXPによりプロダクト開発の生産性を大幅に向上し、3ヶ月で新規プロダクトをリリース
  • 習得したリーンXPのスキルやノウハウの社内展開を通じた新しい組織文化の醸成

リーンXP : アジャイル開発手法の一つ。継続的な実証と学習により、徹底的にムダを省いて製品やサービスを育てていく「リーンスタートアップ」の考え方と設計・実装・テストを短期間に繰り返しつつ柔軟に開発を進める「XP(エクストリームプログラミング)」を組み合わせた手法。

「習得したリーンXPが社内に広がることで、継続的にプロダクト開発に取り組むチームの強固な基盤を築くことができています。このように新しい開発手法の習得と人材育成が結びついている点に、VMware Tanzu Labsの費用対効果の高さを実感しています」

EDOCODE株式会社 代表取締役 田村 鷹正 氏

プロジェクトメンバー

プロジェクトの工数増大や期間の長期化が課題になる中、アジャイル開発手法に着目

2016年創業のEDOCODEは「世界中の人々に使われるプロダクトをつくる」ことをミッションに掲げるスタートアップ企業です。元々は、大規模会員サイト向けポイントモール事業のスピンオフ企業として設立されました。現在では独自のWebプッシュ通知サービス「PUSHCODE」を提供し、さらにShopify顧客インサイトツール「Gojiberry」でグローバルなビジネス展開にも挑戦しようとしています。代表取締役の田村 鷹正氏は、同社の強みについて次のように語ります。

「私たちの強みは、自らの資本で何度でも新規事業に挑戦できることです。分社化による設立という経緯により、私たちは創業当初から、ポイントモール事業というビジネスの柱を持っている状態でした。そのおかげで、一般的なスタートアップと比べて、失敗を通して学びを得ながら、大きな事業に挑戦する土壌が整っていると考えています」(田村氏)

ポイントモール事業は、クライアントごとの要件への対応や厳格なスケジュール管理の必要があることから、ウォーターフォール型で開発を行なっており、様々な課題がありました。例えば、コードレビューや受け入れテストに多大な工数と手戻りが発生し、開発が遅れがちだったこと、そして長期に渡り開発した機能が、結局ユーザーに利用されないというケースが発生していたことです。そこで同社が着目したのが、アジャイル開発手法、中でもVMware Tanzu Labsが推進するリーンXPです。

「VMwareのワークショップに参加してみると、私たちが感じていた課題が全て網羅されていて、目から鱗が落ちるようでした。ワークショップの内容を社内で共有すると、関係者全員がリーンXPを用いた開発のメリットを認識して意気投合し、私たちも取り入れようと決心しました。これが、VMware Tanzu Labsに興味を持ったきっかけです」(田村氏)

独学によるリーンXPへの挑戦を経て、VMware Tanzu Labsの利用を決断

その後、同社は一部のチームでリーンXPの実践にチャレンジします。しかし、主要な開発業務は、プロダクトの性質上ウォーターフォール型で行わざるを得なかったため、チーム全体の変革には至りませんでした。また社内勉強会を通して、リーンXPの学習を続けていたものの、実際の実践は難しかったと言います。

GojiberryプロダクトマネージャーのTimothy Andersen氏は、次のように当時を振り返ります。

「私たちのチームのメンバーは、リーンXPに真剣に取り組んでいました。しかし数年間試行錯誤を続けたものの、独学で得た知識だけでは、うまく実践できませんでした。当時から、メンバー同士で『いつかVMware Tanzu Labsを利用したい』と話していました」(Andersen氏)

同社が2022年にPUSHCODEをリリースしたことで、状況は大きく変わりました。リーンXPの手法を実践するには、プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアの3つのロール(役割)で編成するチームが不可欠です。受託開発ではない、自社独自のプロダクトであるPUSHCODEの開発を通して、チームにおいて各ロールを担うメンバーが揃ったことが、VMware Tanzu Labsの利用を本格的に検討するきっかけとなりました。また業績向上により開発投資の目処が立ったことや、補助金に採択されたことも追い風になりました。こうしてチームと費用面の条件がクリアされたことで、VMware Tanzu Labs の利用を決定。2022年10月よりVMware Tanzu Labs では「エンゲージメント 」と呼ばれる実際のプロジェクトがスタートしました。

エンゲージメント: VMwareのデリバリーメンバーがお客様と伴走して提供する支援のこと。

VMware Tanzu Labsの支援を通したリーンXPの習得

VMware Tanzu Labsのエンゲージメントは、画面共有ツールなども活用しながら、リモートで行われました。同社とVMwareのデリバリーメンバーが、チームの各ロールでペアとなり共に作業を行うことで、スムーズなスキル移転を目指します。

エンゲージメントでは、本当に解決が必要な課題を洗い出し、開発の方向性を具体化します。次に、MVP(実用最小限の製品) を開発するための反復開発に入ります。この段階では、ペア作業によるリサーチ、デザイン、プロトタイピング、開発、テストを一定のサイクルで繰り返しながら、徐々にプロダクトを洗練させます。

MVP(Minimum Viable Product: 実用最小限の製品): 仮説検証のために開発する、ユーザーにとって価値ある最小限の機能を備えた製品。

ペア作業のメリットについて、GojiberryエンジニアのDesmond Chin氏は、次のように語ります。

「以前は個人作業の方が集中できると思っていましたが、実際にペアプログラミングしてみると、効率がいいと感じました。お互いに自分の作業を説明しながら、常に相談して仕事を進めるので、ミスが大幅に減りました。今では、個人作業よりペアプログラミングの方が集中して作業ができます」(Chin氏)

その他、ペア作業のメリットとして、お互いに常にフィードバックし合うことによるスキル補完や意識合わせ、情報共有の時間短縮などが挙げられました。

エンゲージメント中の様子

既存プロダクトの改善から新規プロダクト開発への大転換

プロダクトの開発に入る前に、プロジェクトは大きな転機を迎えました。当初はPUSHCODEの新機能の開発を考えていましたが、最終的には全く新しいプロダクトをリリースすることになったのです。

同社は、VMware Tanzu Labsのデリバリーメンバーと共に、まずPUSHCODEが解決すべき顧客の課題を検討しました。Webプッシュ通知の利用ケースを考察した結果、ECショップでの需要が高いという仮説を導き出し、ユーザーリサーチで検証を行うことになりました。そして、リサーチを通してECショップについて理解を深めると、ECショップのオーナーが、Webプッシュ通知では解決できない、様々な課題を抱えていることが分かりました。

GojiberryプロダクトデザイナーのSherry Wu氏は、当時を次のように振り返ります。

「ECショップのオーナーと消費者の2つのペルソナ(サービスや製品の典型的なユーザー像)を設定し、それぞれに対して別々のインタビューを行いました。以前の会社ではリサーチを外注していたので、経験不足は否めませんでしたが、今回はペアを組んだVMware Tanzu Labsのスタッフにサポートを受けながら、ユーザーリサーチを行うことができ、自分自身でユーザーの課題を発見することができました」(Wu氏)

そこで同社が、VMware Tanzu Labsのデリバリーメンバーとディスカッションしながら出した結論は、PUSHCODEとは別のプロダクトを新規に開発するというものでした。

「VMware Tanzu Labsを利用する前提は、変化を厭わないオープンマインドでした。私たちが事前に用意したアイディアは、すべて捨て去りましたが、支援を受けるプロセスの中で、自然に新たなゴールを定めることができました」(Andersen氏)

リーンXPの習得に合わせて、VMware Tanzu Labsが同社にもたらした様々な変革

こうして3ヶ月のエンゲージメントを経てリリースされたのが、Eコマースプラットフォーム Shopifyのショップのオーナーに顧客インサイトを提供するサービス「Gojiberry」でした。短期間でのリリースを支えたのが、リーンXPによる開発生産性の大幅な向上です。具体的には、ペアプログラミングによるコーディングとレビューの同時進行や、テスト駆動開発による手戻りの削減などが挙げられます。また、仕様策定から実際のプロダクトへの反映までのリードタイムや、UIテストに掛かる時間を大幅に短縮することができました。田村氏は、「VMware Tanzu Labsの支援なしでは、『Gojiberry』を、3ヶ月間で自信をもってリリースするのは難しかったでしょう」と述べています。

個人や小規模なビジネスオーナーが顧客インサイトを得られる Shopify アプリ『Gojiberry

これらの成功要因として重要なのが、チーム全体の変革です。具体的には、プロダクトの戦略や仕様をチーム全体で隅々まで共有しているので、お互いの意図が不透明な状況を防ぎながら、自律的で連携の取れた開発を進めることができました。Andersen氏は「単なる組織内の体制ではなく、統合されたひとつのチームのように感じるようになりました。VMware Tanzu Labsは、そのようなチームに変革したいと考える組織にとって最適です」と語ります。

また、もう一つ重要な考え方が、次の成功に向けた学びを得るために「小さく早く失敗する」ことです。Wu氏は「私たちは、VMware Tanzu Labsのエンゲージメントを通して、学びを得るためには小さな失敗を恐れないというマインドセットを身につけました。私たちのプロジェクトも大きな転換点を経験しましたが、乗り越えることができました」と語ります。

意外なメリットは、リーンXPは採用活動においてアピールポイントになることです。国内でリーンXPを実践している企業はまだ多くないので、興味を持つ応募者が増えたと、田村氏は言います。

現在、同社は、GojiberryやPUSHCODEの開発に注力しながら、社内の他のチームにVMware Tanzu Labsから得たスキルやノウハウを広げる取り組みを行っており、組織全体にリーンXPが広がっています。

「Gojiberryのチームを起点にリーンXPが社内に広がることで、継続的にプロダクト開発に取り組むチームの強固な基盤を築くことができています。VMware Tanzu Labsを利用しないと、このような教育効果を得ることはできませんでした。このように新しい開発手法の習得と人材育成が結びついている点に、VMware Tanzu Labsの費用対効果の高さを実感しています」(田村氏)

また田村氏は、成長したGojiberryの改善や、リーンXPの社内展開や新しい組織文化の醸成のため、機会があれば再びVMware Tanzu Labsを利用したいと付け加えました。

VMware Tanzu Labsから持ち帰った組織変革の種は、同社の中で大きく芽吹き、プロダクト、そしてビジネスの成功に繋がることでしょう。VMwareは、そうしたアジャイル開発手法の習得と新しい組織文化の醸成に向けた取り組みを今後も支援していきます。

図: すべてのロール(役割)でリーンXPを徹底的に修得できる VMware Tanzu Labs

図: すべてのロール(役割)でリーンXPを徹底的に修得できる VMware Tanzu Labs

プロジェクトメンバーのご紹介

EDOCODE株式会社 代表取締役 田村 鷹正 氏
EDOCODE株式会社
代表取締役
田村 鷹正 氏
EDOCODE株式会社 Gojiberry プロダクトマネージャー Timothy Andersen 氏
EDOCODE株式会社
Gojiberry プロダクトマネージャー
Timothy Andersen 氏
EDOCODE株式会社 Gojiberry エンジニア Desmond Chin 氏
EDOCODE株式会社
Gojiberry エンジニア
Desmond Chin 氏
EDOCODE株式会社 Gojiberry プロダクトデザイナー Sherry Wu 氏
EDOCODE株式会社
Gojiberry プロダクトデザイナー
Sherry Wu 氏

お客様情報

お客様名 EDOCODE株式会社 様
WEBサイト https://www.edocode.co.jp/
カスタマープロフィール EDOCODEは、世界中の人々が利用できるサービスを構想し、開発することを目指しているベンチャー企業。どの文化や国の人でも価値を感じ、利用したくなるような製品を作り出すことを目指す。また、多くの人が生活のなかで不便に感じていることを、IT/Web技術を活用して解決し、社会に貢献する。
導入製品
  • VMware Tanzu Labs

※本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記載内容は2023年5月現在のものです。

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