課題を解決

お客様と伴走し、モダンな開発とDXを支援
VMware Tanzu Labsとは?

2023/06/02

厳しい競争に勝ち残り、激変する市場に適応するには、デジタル変革(DX)の推進が欠かせません。特に迅速なデジタルビジネスの立ち上げには、従来の厳格な要件定義による開発とは異なる開発手法とスキルを習得する必要があります。そこでVMwareが、お客様と伴走しながらスキルの習得と自走を支援するサービスが、VMware Tanzu Labsです。


目次


生き残りの鍵は「変化に強いプロダクト」を作る力

顧客のライフスタイルの変化により、企業にとってデジタルビジネスは事業の要になりつつあります。競争に勝ち残るには、顧客ニーズへの迅速な対応が必要ですが、残念ながら現状のソフトウェア開発には、様々なハードルが存在します。

一つ目のハードルは、要件定義の難しさです。現状のソフトウェア開発で主流の手法は、要件定義、設計、実装、テストといった一連の工程を段階的に実施する、ウォーターフォール型開発です。この方法では、事前に綿密な要件定義が必要です。しかしデジタルビジネスの開発においては、顧客や市場のニーズを予測して、プロダクトに必要な要件を事前定義するのは困難です。二つ目は、硬直化した開発体制です。ウォーターフォール型開発では、分業体制で詳細設計と開発を進めるので、要件定義に大きな変更を加えるのは困難です。また、その開発サイクルは長くなりがちです。開発中に顧客のニーズが変化するかもしれませんし、不要な機能を提供する恐れもあります。デジタルビジネスのような事前予測が難しい領域では、ウォーターフォール型開発は大きなリスクを抱えています。

このようなハードルを乗り越え、デジタルビジネスを軌道に乗せるには、事業会社と開発会社が手を取り合って、変化に強いプロダクトを作る力を習得する必要があります。具体的には、仮説検証〜実用最低限のプロダクト(MVP)の開発〜計測〜学習/改善のサイクルを素早く回し、徐々に顧客の求めるプロダクトに近づけていくリーンスタートアップの考え方を取り入れた方法です。

Henrik Kniberg氏のツイートより引用

上の図は、ウォーターフォール型開発とリーンな開発の違いをイメージで表した有名なイラストです。上段のように、部品作りから始めて、最初から完成品を目指すのがウォーターフォール型開発です。下段のように小さな価値を積み重ねて、必要に応じて方向性を修正し、少しずつ顧客の真のニーズに近づけていくのがリーンな開発です。

しかし変化に対応できる枠組みを作るには、リーンスタートアップの考え方を学ぶだけでは不十分です。実践を通して、チームとそのメンバーが十分なスキルを習得する必要があります。また改革すべき領域は、開発体制から組織文化まで多岐に渡ります。チームのスキル習得と変革をスムーズに進める上で、このような多大な学習コストがハードルになりかねません。

VMware Tanzu Labsとは?

そこでVMwareが提供するソリューションが、専門家による伴走型の開発支援サービスであるVMware Tanzu Labsです。VMware Tanzu Labsは、1989年にシリコンバレーで創業したPivotal Labsを母体とし、アジャイル開発のコンサルティングサービスを30年以上にわたり提供しています。現在はVMwareのサービスとして、年間700件のプロジェクトに携わり、金融、公共、製造など、幅広い業界のお客様を支援しています。

VMware Tanzu Labsには、図のように様々なサービスがありますが、本記事では新規プロダクトを支援するProduct Developmentサービスをご紹介します。その特徴は、数ヶ月間お客様と共に手を動かすことで、お客様へのスキル移転を目指す点にあります。具体的には、プロジェクト中心の考え方からプロダクトを育てるマインドセットへの変革、ウォーターフォール型開発からアジャイル開発への変革、そしてシリコンバレーのチーム文化による組織文化の変革などが含まれます。

VMware Tanzu Labsの3つの柱

VMware Tanzu Labsは、以下の3つの手法で構成されています。

リーンなプロダクトマネジメント

リーンなプロダクトマネジメントでは、MVPの開発を重視します。ユーザーのフィードバックを受けながら、その都度機能を追加することで、ユーザーにとって本当に必要なプロダクトに近づけます。具体的には、最小限の機能を実装し市場にリリースするBUILD、ユーザーの反応やデータを収集するMEASURE、それらを分析して改善点を製品に反映するLEARNという3つのプロセスを繰り返します。

上のグラフでは、直線が従来のウォーターフォール型開発を表し、波型のグラフがリーンな開発を表しています。リーンな開発では、BUILD・MEASURE・LEARNを繰り返すことで、リスクを常に抑えることができます。一方、ウォーターフォール型開発では、完成品をリリースするまでフィードバックが得られず、開発期間が長くなるほどリスクが増大します。このように、リスクを低減した高品質なプロダクト開発を目指すのが、リーンなプロダクトマネジメントです。

ユーザー中心設計

ユーザー中心設計では、まずターゲットユーザーをペルソナとして設定し、それを基に仮説を設定します。そしてユーザーインタビューや調査を通じて仮説の妥当性を検証し、その結果を元にプロトタイプを作成します。その後さらにユーザーからのフィードバックを収集し、本当にユーザーが必要とする機能をプロダクトに反映します。
一方、従来の要件定義では、ユーザーの要望から最大公約数的に要件を抽出します。また抽出の際、開発側のバイアスを除外することも困難です。結果として、要件が膨らむとともに、ユーザーにとって不要な機能も多く盛り込まれがちです。そこで、ユーザー中心設計を採用することで、徹底したユーザー目線と仮説検証でバイアスを排除し、ユーザーにとって本当に必要な機能だけを提供できます。

エクストリームプログラミング

エクストリームプログラミング(XP)は、アジャイル開発の代表的な手法のひとつであり、ペアプログラミングとテスト駆動型開発を特徴としています。

ペアプログラミングは、2人のエンジニアがペアになって、1つの画面を共有しながらコードを書く手法で、以下のようなメリットがあります。1つ目は、困難な課題に対して、異なる視点から意見を出し合うことで、解決策を得やすいという点です。2つ目は、お互いに確認しながらコードを書くので、誤ったコードの混入を防ぎ、誰にでも分かりやすいコードを書けるという点です。その結果、コード品質の向上や、バグ・脆弱性といったリスクを低減できます。

テスト駆動型開発は、先にテストコードを書き、そのテストが通るようにソフトウェア本体のコードを洗練させる手法です。これにより、必要なコードだけを書くことができ、手戻りの発生などの無駄を省くことができます。

このような手法を用いることで、開発効率を向上しながら、高品質なソフトウェアを開発することがエクストリームプログラミングの目的です。

VMware Tanzu Labsの3つの手法を実践するのが、プロダクトマネージャ、プロダクトデザイナー、エンジニアから成る「バランスドチーム」です。プロダクトマネージャはリーンスタートアップに基づくマネジメントを行います。そしてユーザー中心設計を実践するプロダクトデザイナー、エクストリームプログラミングを実践するエンジニアが協力し合うことで、優れたソフトウェアを生み出すことができます。

VMware Tanzu Labsでお客様を支援する際は、それぞれの役割ごとに、お客様とVMwareが一対一でペアを組んで作業します。VMware Tanzu Labsのプラクティスをお客様と共に実践することで、スムーズなスキル移転と、その後のお客様のチームご自身による実践を支援します。

VMware Tanzu Labsによる支援の流れ

VMware Tanzu Labsによる支援のことを、エンゲージメントと呼びます。エンゲージメントに入る前に、スコーピングフェーズで、お客様が本当に解決したい課題やビジネス目標などを議論し、実際のご提案を行います。

エンゲージメントが始まると、まずディスカバリーとフレーミングという2つのフェーズを実施します。この間に、ユーザーリサーチなども加えながら、解決が必要な課題や優先度を決め、それに対する具体的なソリューションを洗い出します。最優先で開発すべき機能を決めたら、MVPを開発するための反復開発フェーズに入ります。そして開発サイクルを繰り返しながら、徐々にプロダクトを洗練させます。

これらのプロセスを何度も繰り返すことで、お客様の開発チーム自身が、このプロセスを自分たちで回せるようにすることが、VMware Tanzu Labsの目的です。さらにエンゲージメントしたチームは、習得したプラクティスとスキルを自分の組織に持ち帰ります。そして彼らが、自組織の別メンバーとペアリングを行いながら社内にスキル移転をしていくことで、新しい開発文化が組織全体に広がることも目指しています。

VMware Tanzu Labsによる変革の成果

日本企業においては、一般的に事業会社が外部の企業に開発を委託しているケースが多いです。しかしVMware Tanzu Labsは、そのような状況でも有効です。

ある日本企業の事例をご紹介しましょう。こちらのお客様は、開発を外部の企業に外注し、ウォーターフォール型開発を行なっていました。デジタルビジネスへの参入を目指していましたが、従来の厳格な要件定義と分業に基づく開発体制には様々な問題がありました。具体的には、開発に時間が掛かりすぎ、柔軟性に欠けていること。また開発スキルや意思決定の問題などがありました。そこでVMware Tanzu Labsのエンゲージメントを利用して、リーンなプロダクト開発を習得しました。その結果、開発会社をはじめ様々な関連企業が、会社の枠を越えたバランスドチームとなり、一体となって開発できるようになりました。そしてスピーディーで継続的なアプリの改善と、ユーザーの声を取り入れた開発を実現しました。このようにVMware Tanzu Labsの手法は、内製チーム、複数の企業の協業を問わず、有効性が実証されています。

VMware Tanzu Labsは2015年から日本国内でもサービスを開始し、幅広い業界のお客様を支援しています。今後もVMwareはプラットフォームやツールに加え、お客様の成功とデジタル変革を直接支援するサービスにも注力します。

実際のお客様がどのように活用いただいているのか、VMware Tanzu Labs を採用いただいたお客様の事例も併せてご覧ください

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