導入事例

【VMware vSAN、VMware Horizon 導入事例】 平井精密工業株式会社 様

2023/10/24

従業員のクライアント環境をRDSからVDIへ刷新
業務生産性と利便性の向上を実現

フォトエッチングをはじめとする、金属総合加工メーカーとしてグローバルに事業を展開する平井精密工業株式会社(以下、平井精密工業)は、これまでRDS(リモートデスクトップサービス)を用いてクライアント環境を社員に提供してきました。しかし利用するにつれこの基盤には多くの課題が顕在化、新しい基盤の検討が必要な状況にありました。そこで仮想化基盤の刷新と合わせて、新たなクライアント環境にVMware HorizonによるVDI(仮想デスクトップインフラ)を採用。社員の業務生産性を向上するとともに、BCP(業務継続計画)やセキュリティに関する課題も解決しました。

導入前の課題

  • RDS環境として利用していたサーバ OSであるWindows ServerでのMicrosoft Officeのサポート終了
  • オンラインコミュニケーションツールにも対応した、快適かつセキュアな業務環境の整備
  • 仮想化基盤のリソース不足とBCP対策の強化

導入効果

  • VDI方式により、パフォーマンス不足の解消とユーザーの利便性を向上
  • PC端末にVMware Workspace ONE を導入することでセキュリティの担保と利便性の両立を実現
  • 柔軟性のある仮想化基盤とBCP強化を実現

「VMware Horizon では Windows 10/11をクライアントOSとしてVDI環境に展開できるため、ユーザーは以前よりも違和感の少ないデスクトップの操作性を得られるとともに、互換性の問題によるアプリケーションの制限からも解放されました」

平井精密工業株式会社 総務部 システム 係長 出口 雅之 氏

プロジェクトメンバー

プロジェクトメンバー

RDSベースのクライアント環境が直面した課題

業界トップクラス品質を誇る総合加工メーカーの平井精密工業。エッチング加工を軸とする多彩な技術と各種素材を組み合わせた複合加工技術を提供し、1967年の創業時から一貫して“超精密”を追求し続けています。

この事業の成長を根幹から支えているのがIT戦略です。同社 代表取締役社長の平井 孔明氏は、「100%受注生産を行う中で、お客様から注文を受けてから最短3日間での出荷を実現する生産指示・工程管理のシステムを早くから導入してきました。さらにアメーバ経営の考え方を取り入れた部門別採算制度のもと、月次の締め日から3日以内に損益計算書を作成する会計システムなど、積極的な業務のデジタル化により経営のスピードアップを図っています」と話します。

社員の業務効率化に向けた取り組みも同様で、受注・販売管理、生産管理、品質管理など業務を支える自社開発の基幹システムが稼働する基盤と同一セグメント上にRDSを展開。社内外のどこからでもセキュアにアクセスできるクライアント環境を整えてきました。

ただし、このIT環境はさまざまな課題を抱えていました。同社 総務部 システム 係長の出口 雅之氏は、対策・改善が急がれた次の4つのポイントを示します。

1つ目は、RDSに関連した問題です。同社のRDS環境はサーバ OSであるWindows Serverをベースにしていたことから、Windows 10/11などクライアントOSでの利用を前提とした業務アプリケーションに対応できないことがあり、個別の回避策が必要になることが多くありました。また、RDSはその仕組み上、同一のOSリソースを複数ユーザーで共有するため、1人のユーザーが行った重い操作が、同じ環境を利用する他ユーザーのパフォーマンスに大きな影響を及ぼすことがありました。そして、Microsoft Officeのサポートポリシー変更に伴い、Windows Serverでのサポート終了が決まったことが、システム構成の見直しの検討を始める大きなきっかけになったと言います。

2つ目は、コロナ禍を経た新たな働き方への対応です。Web会議をはじめ需要が急増している各種オンラインコミュニケーションツールとも柔軟に連携し、より快適かつセキュアに運用できるデスクトップ環境を整備する必要がありました。

3つ目は、高度化するセキュリティへの対応です。世の中で頻発するランサムウェア攻撃などに備え、平井精密工業ではスナップショットによる復元ポイント設定やバックアップソフトウェアとテープのオートライブラリを組み合わせた定期的な静止点の作成ならびに退避などにより、有事の際にも被害を最小化する対策を行っています。しかし、現行の仮想化基盤のデータ容量の増加に対応できず、スケジュールどおりにバックアップを実施できない事態が発生するほか、バックアップジョブの修正対応の負荷も増大していました。

4つ目は、ハードウェア基盤の更改時期の到来です。既存のハードウェア基盤は、運用を開始してからすでに6~7年が経過しており拡張は困難。前項でも述べたとおりストレージ容量などリソース不足が顕在化しており、BCP強化のための十分な対策をとれない問題も抱えていました。そこで昨今の半導体需給のひっ迫も考慮し、2024年1月までの保守期限を前倒しした更新計画の策定を開始しました。

VMware vSANベースのHCI上にVMware Horizonを実装した課題解決策

上記のような多岐にわたる課題を見据え、平井精密工業は複数のベンダーにソリューションを求めました。そうした中で目にとまったのがデル・テクノロジーズ株式会社(以下、デル・テクノロジーズ)からの提案です。

「私たちの課題解決を全方位でカバーするとともに、システム導入の明確なロードマップを提示してくれた点が大きなポイントです」と出口氏は話します。デル・テクノロジーズから提案されたのは、具体的には次のようなシステムです。

まずこれまでRDSで展開してきた業務環境をVMware HorizonによるVDIに刷新します。あわせて在宅や外出先などで業務にあたる社員には、Workspace ONE で管理された端末を配布することによりセキュリティと利便性を向上します。

またVDIおよび各社内システムを稼働する仮想化基盤として、VMware vSANをベースとしたオールフラッシュ構成のHCI(ハイパーコンバージドインフラ)であるDell VxRailを6ノード導入します。なお、このHCIに外部ストレージを組み合わせることで、ファイルサーバ(NAS)機能も提供します。さらに遠隔地の工場に設置したリカバリサイトにはDell VxRailを2ノード導入。データセンターとリカバリサイトの双方にバックアップ機能とBCP対策の機能を持つデータ保護アプライアンス(Dell Power Protect)を配置することで、BCPの強化を図ります。「デル・テクノロジーズから提案されたこの一連のソリューションには、技術面でも非常に目を引くものがありました」と出口氏は強調します。

平井精密工業では今回のシステム導入に先立ち、VMUG(VMware User Group)のコミュニティや各種イベント、VMwareが開催するハンズオンなどに積極的に参加し、情報収集に努めてきました。

「各ベンダーから寄せられた提案内容を判断するためには、それなりの知識が必要ですが、自分一人だけで知識を身に付けるのは限界があります。その意味で非常に有意義だったのがVMUGでの活動で、どんな製品や技術が課題解決に役立つのか、あるいは導入しても無駄なのか、他社のメンバーの方々と忖度のない本音ベースの情報交換ができました。あわせてVMwareから提供された試用ライセンスを使って、私たちなりに検証を進めてきました。こうして習得してきた知識に基づきデル・テクノロジーズの提案を吟味したところ、しっかり“腹落ち”できたことから正式採用に至りました」と出口氏は語ります。

150名のユーザーの同時利用をまかなえるVDIを展開予定

2023年の年明けとともにデル・テクノロジーズに発注したDell VxRailなどの機器は、2023年2月から順次納品が進み、同時に社内への展開を開始。8月中にすべての機器の納入を終え、旧システムがEOSを迎えるまでに移行を含めたすべての作業を完了させるというスケジュールのもと、現在もシステム構築プロジェクトは順調に進んでいます。完成した暁には、従来のRDSに代わるVMware HorizonによるVDI環境がこの基盤上で運用を開始することになります。

「主なユーザーとしては全社員420人のうちPC業務にあたる約300人が対象で、最終的にはその半数の同時利用をまかなえる160台程度のVDIを展開する予定です。さらに社外からRDS利用する社員には、ノートPCにVMware Workspace ONEを導入することで利便性と運用性の両立を図ります」と出口氏は、今後の運用を想定しています。

なお、データセンターの基盤が万一激甚災害に被災、あるいは重大なトラブルやランサムウェア攻撃の被害が発生した場合でも、業務継続性は維持されます。遠隔地のバックアップサイトに運用を切り替えて、VDIについても利用を再開できる仕組みです。

同社 総務部 システムの津川 拓哉氏は、ここまでのプロジェクトを振り返りつつ、「当初からゴール(課題解決)までの明確なロードマップが策定されていたおかげで、着実に作業を進めることができました」と成功要因を示します。

さらに同社 総務部 システムの木村 靖弥氏も、「Dell VxRailなどハードウェア基盤の導入はデル・テクノロジーズに頼るしかありませんが、その他のソフトウェア製品/ソリューションの導入については、できる限り内製で対応するという基本方針で臨みました。そのぶん時間は要しましたが、そこで習得した知識と経験は今後の社内展開に必ず生かせると考えています」と、今回のプロジェクトを通じて掴んだ手応えを語ります。

VDIとコミュニケーションツールの連携を図りビジネス全般にわたる生産性向上を実現していく

実際に今回のプロジェクトを通じてDell VxRailと共に導入されたVMware製品は、平井精密工業におけるシステム展開や運用のあり方を大きく変えています。

「シンプルな構成となった仮想化基盤は、これまで休日や夜間に対応しなければならなかった煩雑なバージョンアップ作業もデル・テクノロジーズからリモートで対応できるようになり、メンテナンス工数を削減するとともに属人化を解消しています。VMware Horizonもテンプレート機能を活用することで、定型業務向けのVDIの展開およびアップデート作業を容易に行うことができます。さらにVMware Workspace ONEを活用すれば、社外で活動する社員に向けてもより幅広いソフトウェアを提供することが可能となります」と出口氏。

もちろんユーザーの業務面でも大きな改善効果が見込まれています。VMware HorizonではWindows 10/11をクライアントOSとして展開できるため、ユーザーは以前よりも違和感の少ないデスクトップの操作性を得られるとともに、互換性の問題によるアプリケーションの制限からも解放されます。また各ユーザーは占有に近い形でOSリソースを利用できるため、他者の影響をほとんど受けずに業務に専念することが可能となります。

「物理PCと同等の利便性を持ったこのVDIをさまざまなコミュニケーションツールと連携させれば、お客様とのエンゲージメント向上や製品の品質向上など、ビジネス全般にわたる生産性向上の効果を生み出せると考えています」と出口氏は期待を示します。

そして今後に向けても平井精密工業では、VMware NSXを活用したマイクロセグメンテーション(分散ファイアウオール)によるセキュリティ強化、エンジニアリング業務向けに仮想GPUを割り当てたVDIの展開、VMware SD-WANを活用した拠点間の通信の最適化などの検討を進めており、今回のプロジェクトを足掛かりにIT基盤のさらなる強化を目指しています。

プロジェクトメンバーのご紹介

平井精密工業株式会社 代表取締役社長 平井 孔明 氏
平井精密工業株式会社
代表取締役社長
平井 孔明 氏
平井精密工業株式会社 総務部 システム 係長 出口 雅之 氏
平井精密工業株式会社
総務部 システム
係長
出口 雅之 氏
平井精密工業株式会社 総務部 システム 津川 拓哉 氏
平井精密工業株式会社
総務部 システム
津川 拓哉 氏

平井精密工業株式会社
総務部 システム
木村 靖弥 氏

お客様情報

お客様名 平井精密工業株式会社
WEBサイト https://www.hirai.co.jp/
カスタマープロフィール 1967年にフォトエッチング加工専業メーカーからスタートして、日本国内はもとより世界的にも業界最大規模の企業に成長。完全受注生産による金属エッチング加工を主軸として、レーザ加工や切削加工などを含む多種複合加工による少量多品種生産に対応するほか、量産加工の要求にも対応できる総合加工メーカー。現在は国内外1,000社を超える顧客の研究開発から量産までの製品供給を担っている。
導入製品
  • VMware vSphere
  • VMware vSAN
  • VMware Horizon
  • VMware Workspace ONE
  • Dell VxRail
  • PowerProtect DP4400
  • PowerStore 1000T
導入パートナー デル・テクノロジーズ株式会社

※本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記載内容は2023年6月現在のものです。

 

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