アプリケーション仮想化というと、大きく分けて、サーバOS上でアプリケーションを公開して複数ユーザで共同利用する「SBC方式」と呼ばれる方式と、アプリケーションをパッケージ化して配信する2つの方式が存在します。 VMware ThinAppは後者の技術であり、Windowsアプリケーションの動作に必要なレジストリ情報やシステムファイルを、アプリケーションと合わせて一つのEXEファイルにカプセル化します。 アプリの動作はカプセル内で完結するため、従来はレジストリ情報等によりWindows OSと紐づいてしまっていたアプリを、OSから分離し独立して動作させる事が可能になります。
ThinAppを使うことで、これまで必要だった、アプリケーションのインストール作業やWindowsのバージョンによる互換性問題、アプリケーションのバージョンが複数同時に存在する場合の競合等を回避し、自由に展開する事ができるようになります。
ThinAppの主なメリット
- アプリケーションインストール工数を削減
- アプリケーション同士の競合を排除
- ユーザ権限でのPC運用(インストールが不要のため)
- レガシーアプリケーションの移行(Windows XP用アプリケーションをWindows 7上で動作させる等)
- IE6の延命
ThinAppが「今」検討される背景
組織内のPC管理者にとってPCのOS変更は数年に一度やって来る大きなイベントです。WindowsXPの保守切れに伴い、まさにこれからWindows7上でのアプリケーション動作テストを計画されているお客様も多いのではないでしょうか。 ThinAppによりWindows7互換を持たせたアプリケーションのカプセル化を行うことで、移行支援に寄与できる可能性があります。
一方、ThinAppを使わずに、従来の物理PCとOSを一部延命して、当該アプリケーションを継続利用していく方針の場合、次のようなリスクがあげられます。
保守切れハードウェアで稼動し続けることによる潜在的な障害発生可能性と、障害時点での復旧時間の延伸
既存PCの乏しいハードウェアリソースに起因するパフォーマンス不足
クライアント端末標準化への対応ができないこと
従いまして、ThinAppを用いてアプリケーションを仮想化することは、今後数年間のPC運用において大きな解決策となりえます。
OSの仮想化との違い
VMwareが提供しているクライアントPC向け仮想化ソリューションとしては、VMware Workstation/ Playerが知られています。 PCのOS上に仮想化機能を提供するVMware Workstation/ Playerをインストールして、CPU、メモリ、ネットワーク、ディスク等のリソースを仮想マシンに対して割り当てて、複数のゲストOSを動作させる技術です。 ThinAppのアプリケーション仮想化技術はOSとアプリケーションを分離させる技術であり、カプセル化されたアプリケーションはWindows OS間での可搬性を保持します。
ThinAppの場合、VMware Workstation等のOS仮想化技術と比較すると、OS自体を維持する必要が無いため次のような効果が期待されます。
- ゲストOS分のリソースが不要
- OSの会社標準化の実現
- 旧OSを延命することによる潜在的なセキュリティ・リスクの回避