NSX Advanced Load Balancerの特長
従来型ロードバランサーの課題を解決
NSX Advanced Load Balancerでは、従来型のロードバランサーの課題を解決いたします。ソフトウェア定義のロードバランサーで、L4-L7負荷分散だけでなく、Web Application Firewall(WAF)、リアルタイムのアプリケーション分析といった機能を包括的に提供します。下の表は、NSX Advanced Load Balancerと従来のロードバランサーの主な比較ポイントを示しています。この中から主だったものを本記事で紹介いたします。
NSX Advanced Load Balancer 100% ソフトウェアロードバランサー |
従来のロードバランサー 物理 / 仮想アプライアンス |
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一般のx86サーバ | 独自の専用ハードウェア |
ソフトウェアによる柔軟なキャパシティの拡張が可能 | ハードウェアに依存した固定的なキャパシティ |
需要に応じた柔軟な設備投資 | 需要を見越した過剰な設備投資 |
Active / Active や N + M冗長が可能 | Active / Standby のみ |
詳細なアプリケーション分析 | アプリケーションの可視化機能なし |
規模によらず、1つの管理ポイント | 規模に応じた大量の管理箇所 |
変化に追従するための自動化に対応 | 手動管理による、都度の煩雑な設定変更 |
マルチクラウドに対応した分散アーキテクチャ
分離したコントロールプレーン / データプレーン
NSX Advanced Load Balancerの最大のポイントは、環境全体のロードバランシングの司令塔となる「コントローラ(コントロールプレーン)」と、トラフィックを制御し、データ転送を担う「サービスエンジン(データプレーン)」を分離したアーキテクチャであることです。これにより、従来、環境の規模に比例し、増えていた管理箇所を、コントローラの1箇所だけで行うことができます。
中央集中管理を担うコントローラは、分散配置されたサービスエンジンに設定を行うだけでなく、負荷分散されるアプリケーショントラフィックの情報を収集し、可視化を行います。
さらに、コントローラは、様々な環境とAPI連携をし、オンプレミスのデータセンターだけでなく、パブリッククラウドへのアプリケーションサービスの迅速な展開を可能にします。Microsoft Azure、Amazon Web Service (AWS) 、Google Cloud Platform (GCP) 、OpenStackなどのクラウドプラットフォームのほか、VMware NSX ManagerなどのSDNコントローラ、VMware vCenterやKubernetesなどの管理ソフトウェアと連携することができます。
これにより、従来発生していた、アプライアンスのインストールや設定変更の自動化を実現します。
サービスエンジンのオートスケーリング
コントローラとサービスエンジンを分離した分散アーキテクチャにより柔軟なトラフィック制御が可能になりました。従来のロードバランサーでは、アクティブ/スタンバイで構成されるため、1台のあたりのパフォーマンスが上限となっておりました。そのため、アプリケーションごとにトラフィックの最大量をあらかじめ想定してインスタンスのサイジングを行っておりました。しかし、NSX Advanced Load Balancerでは、複数のサービスエンジンで同一の仮想IPによるサービスを提供することが可能になるため、数年先の需要を想定したサイジングは必要なくなります。
さらに、コントローラは、各サービスエンジンの負荷をモニタリングすることで、自動的に伸縮し、必要十分なリソースを提供するオートスケーリングを実現いたします。これにより、通信トラフィックの負荷変動に自動的に追従することが可能です。
NSX Advanced Local Balancerの特徴である分散アーキテクチャは、パフォーマンス面でもメリットがあります。従来のようにデータプレーンに割り当てるCPUを増やすことで処理性能をスケールアップさせるだけでなく、処理を行うサービスプレーンを増やすスケールアウトにも対応しております。これらを同時に行うことも可能なため、従来型のロードバランサーより大規模トラフィックに対応することが可能です。