大学でのパソコンの利用形態には様々な種類があり、それぞれが1台1台の物理パソコンを持つことが通常となっていますが、実は潜在的な問題を抱えたり、より良くすることができる可能性を秘めています。
大学でのパソコンの利用形態には様々な種類があり、例えば下記のようなパソコンが大学内には溢れています。
- PC教室で使われるパソコン(CAD教室、インターネット教室等)
- 学生1人1人が持つパソコン
- 職員の皆さんが事務作業をされるためのパソコン
ここでは、仮想デスクトップを利用すれば、これらのパソコンをどのようにより良くできるかをご紹介したいと思います。
PC教室の革新
例えば、PC教室はCAD用やインターネット用といった目的ごとに教室が分かれていることが通常です。これは、用途ごとに使用するパソコンに入れるアプリケーションやスペックが違うため、物理パソコンで運用する上では当然の流れといえるかもしれません。しかしながら、この運用をしていることにより、PC教室の時間の割り振りが難しくなっているというお話をよくお聞きします。特定用途で作られたPC教室は、特定用途の時間以外は利用頻度が低く、逆に頻繁に利用したいPC教室は利用できないといった事態が発生します。
こういった状況は、PC教室のパソコンを仮想デスクトップ化することにより、解決することができます。 仮想デスクトップは、その端末から接続するデスクトップを切り替えることができます。CADの授業をする際には、その端末からCAD用デスクトップに接続すれば良いのです。また、同じ教室で英語教育をしたければ、英語教育用デスクトップに接続すれば、その教室が英語教育用のPC教室に早変わりします。
用途ごとにPC教室を作って利用頻度や割り振りの問題が発生していたところを、このような運用をすることにより、人数規模でPC教室を作り、接続先デスクトップを変えることにより、その教室がその用途のためのPC教室となる運用にすることができるようになります。
さらに進んだ活用方法として、無線デバイスを利用すれば、PC教室用として作られた部屋だけでなく、大学内のどの教室でも無線さえ届けば、そこがPC教室になるといったことも実現可能になり、大学内でのPCを利用した授業の促進を行うこともできるようになります。
必携仮想デスクトップ
各大学から学生用PCを「必携パソコン」という形で配布・販売したりするところもあると思いますが、最近の学生のPC所持率は昔に比べて上がってきていると言われており、PCだけでなくタブレットデバイスなど様々な形でデバイスを持っていることが多く見られます。また、デバイスが多様化しているため、きちんとウィルス対策やパッチ処理が行われていないパソコンの管理が大学側では難しく、現実的にはそういったパソコンのネットワークへの接続を許している状況だと思われます。
こういったような背景から、パソコンをひとつのデバイスとして捉えるのではなく、サービスとして捉えるやりかたが検討されるようになってきています。「必携パソコン」に対して、「必携仮想デスクトップ」という考え方です。学生一人ひとりにはデバイスを配るのではなく、仮想デスクトップを配布するやり方です。学生は大学から提供される仮想デスクトップへ各自の端末から接続をするという形を取ることにより、パソコンを利用します。
こういった利用方法をさせることにより、大学は仮想デスクトップのパッチ管理やウィルス対策を一括管理できます。また、学生のデバイスが紛失・盗難にあった場合も、通常であれば情報漏えいが起こってしまいますが、仮想デスクトップ利用時にはデバイス側にデータがありませんので、セキュリティ側面も抑えることができます。
学生からすれば、学内だけでなく自宅からでもセキュアに仮想デスクトップを利用することができます。また、大学側としては、デバイスを卒業生から受け取って新入生に再度利用させるようなことは、デバイスの老朽化の側面から利用は難しいですが、仮想デスクトップはあくまでリソースですので、卒業生の仮想デスクトップを新入生に利用してもらうことも可能です。
卒業した学生のパソコンに配布したアプリケーションの回収について、頭を悩ませる必要がありません。
利用者も管理者も楽になる運用方法
職員の皆さんにとって、パソコンは欠かせないものになってきています。しかしながら、管理する側にとっては、各課によって必要アプリケーションが異なるために、マスターイメージを乱立してしまっていたり、ヘルプデスク運用にお金を払われたり、苦労されていたりする場面も少なくありません。
各課の要望に応えていくとすると、当然の結果としてマスターイメージの乱立が生まれてしまいます。 しかしながら、その数に比例してマスターイメージ管理が非常に困難になり、例えばパソコンが壊れてしまった場合は、元の環境に戻すまでに莫大な時間がかかってしまいます。
そのため、できればシングルマスターイメージを目指すことで、よりよりパソコンの管理運用が可能になります。例えば、下記のようなアプリケーションのポータルを提供することにより、マスターイメージの乱立を防ぐことが可能です。
これはiPhoneなどと同様に、全員が利用するようなアプリケーションが初期インストールされたデバイスをシングルイメージとして、各自で必要なアプリケーションをダウンロードして利用するという運用を、パソコンでも行えるようにしたものです。管理者はユーザーに利用しても良いアプリケーションを事前にポリシーとして定義することによって、ユーザーにアプリケーションをダウンロードさせることを許可します。
これにより、シングルイメージ化が可能になるだけでなく、ライセンス数の管理も同時に行うことが出来るようになります。ポータルからアプリケーションがダウンロードされた数や、同時に実行されている数でライセンスを制限することができます。こういったことが、ライセンスコスト削減にもつながっていくのです。
コストの観点では、先ほど述べたヘルプデスク運用に甚大な労力を費やされていたり、運用を外部に委託したりすることもお金がかかるポイントです。
利用者のパソコンが動かなくなると、従来はヘルプデスクに入電があり、再起動や原因追求などを行い、解決に向かって進んでいきます。ただし、状況把握や対処などに時間がかかってしまいます。もしくは委託していれば、コストがかかる部分になります。
これを仮想デスクトップにすることにより、大幅に改善することが可能です。マスターイメージとの差分だけをもった仮想デスクトップを作成するリンククローンという技術を使って、仮想デスクトップが動かなくなった場合には、マスターイメージにまで状態を戻す(リセットする)ことができます。
マスターイメージは確実に動作する状況であるのと同時に、その状態にまで戻したとしてもマイドキュメント等のユーザーデータまでは消去されませんので、リセットを気軽に行うことが可能です。
また、管理者がこのリセットの権限を持っているだけでなく、ポリシーでユーザーにリセット権限を持たせることができますので、入電をする前にリセットをさせるような運用にすることで、大幅にヘルプデスク業務に掛かる時間やコストを削減することができ、生産性も向上させることができるようになります。
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