学生用のデスクトップ環境をVMware Horizonで刷新
リモート授業対応を強化し利便性とセキュリティを向上
県内の先進テクノロジー教育を担う高知工科大学。同学は、学生用端末の利便性向上や運用管理の効率化を目指し、VMware HorizonによるVDI基盤を利用しています。学生からのさらなる快適性を求める声やリモート授業への対応を強化するため、VDI基盤を刷新、安定性とパフォーマンスが向上し、学外からのVDI接続の導入にも成功しました。さらに、VMwareのプロフェッショナルサービスを導入することで、問題対応の一元化とリソースの可視化を実現し、今後の安定運用に向けた布石を打ちました。
導入前の課題
- VDIのパフォーマンスと安定性を向上
- BYODも見据えたリモート授業対応の強化
- 個別のトラブル対応に工数が割かれ、根本的な課題の発見と解決に時間がかかる
導入効果
- システム刷新により利用者の快適さやイメージ展開の作業速度が大幅に向上
- 学外からのVDI接続の試験導入に成功し、リモート授業への対応強化に貢献
- プロフェッショナルサービスによる一元的なサポートと、課題の可視化・分析の提供により、課題の対処とシステムの改善が容易に
高知工科大学
福本 昌弘 教授
高知工科大学
情報部 情報システム課 主任
福冨 英次 氏
VDIで学生用端末を物理的制約から解放
1997年に開学された高知工科大学は、「大学のあるべき姿を常に追求し、世界一流の大学を目指す」ことをビジョンとして掲げ、県内における先端テクノロジー教育を担っています。ICカード付き学生証を日本で最初に導入するなど、先進的なテクノロジーを積極的に導入し、学生や教員にとって魅力的な教育環境を実現しています。
約2,000名もの学生が学ぶ香美キャンパスでは、学生のデスクトップ環境をVMware Horizonで運用しています。導入した背景としては、物理PCの運用にかかる手間や、PCの用途が部屋別に固定されており、学生が目的に応じて柔軟に利用することが難しかったことが挙げられます。加えて、個人情報の漏洩が社会問題となっていたこともあり、安全性を高める必要がありました。高知工科大学 情報部 情報システム課 主任 福冨英次氏は、「VDIによって、場所や端末のOSを問わずデスクトップを利用できるようになるので、物理的な制約が取り払われます。将来的に、教室だけでなく、別のキャンパスや、同じ公立大学法人に所属する大学からも同じ環境が使えることを目指すには、VDIが最適でした」と振り返ります。また高知工科大学には既に事務系システムの仮想化基盤やクライアントでのゲストOSの利用で、VMware製品の利用実績があり、VMwareとの親和性の高いIT環境でした。福冨氏は「システム全体を仮想化基盤に統合することを見据えると、VMwareに統一することで、イメージの流用のしやすさや、トラブル対応のしやすさといったメリットが生じると考えました」と語ります。加えて、Windows、Linuxなど多彩なOSを安定して動作させられることも、選定におけるポイントでした。こうして2016年に、VMware HorizonによるVDI基盤が稼働を始めました。
システム刷新により、高速VDIによる快適性と運用管理のさらなる効率化を実現
5年間の利用を経て、新たな課題として浮かび上がってきたのが、VDIのパフォーマンスと安定性の向上でした。具体的には、VDI化に起因するアプリケーションの挙動の変化や、不具合のある仮想マシンが稀に検知をすり抜け、授業中に起動しなくなるなどのトラブルがありました。また、OSによっては動作が重いため、利用者から改善してほしいという声が上がっていました。これらの問題がVDIに起因するものかどうか、原因の調査と切り分けも課題でした。そこで高知工科大学は、2019年からシステム刷新の検討を始めました。加えて、2020年の新型コロナウイルス感染症流行により、リモート授業の強化やBYODを見据えた、外部接続への対応も課題として加わりました。高知工科大学 情報センター長 福本昌弘教授は「VDIがより多くの人に受け入れられるためには、さらなる安定性の向上により、快適な授業を実現する必要がありました。一方で、コロナ禍での授業を考えると、物理的な制約がなく、セキュアで個人情報漏洩も防げるという、VDIのメリットは、多くの人にとって納得がいくものでした」と語ります。こうして、2020年8月に新システムの発注を決定、2020年12月には仕様を決定し、3ヶ月の構築期間を経て、2021年4月に新システムが稼働し始めました。
香美キャンパスでは、現在約2,000名の学生が、VMware HorizonによるVDIで、授業の履修や自主学習を行なっています。管理用も含めると15台のサーバーが稼働し、学生は約900台の仮想マシンを、約550台の端末から利用しています。動作の安定性が増すとともに、ログイン時間が体感で半分以下になるなど、利用者は新システムの快適性を高く評価しています。「設計段階での負荷分散や、ソフトウェアとサーバーの技術進歩により、VDIの体感速度を大幅に上げることができました。学外からの接続も、約100人の学生でテスト中ですが、リモート授業でのトラブルもなく、教員からも良い評価を得ています」と福冨氏は言います。
管理者視点のメリットとしては、VDIの展開スピードが大幅に上がったことや、一元管理によるセキュリティの向上が挙げられます。一元的にログを取得できるので、不審なアクセスの特定から、課題の未提出者まで確認できるようになり、セキュリティだけでなく授業の効率化にも貢献しています。福冨氏は、「VDIを導入したことで、一元管理による効率性や仮想化によるメリットを享受しています。例えば、利用中の仮想マシンで何か問題が起きた場合、別の仮想マシンにログインし直すことで引き続きデスクトップを利用することができるというのは仮想化ならではのメリットです。」と語ります。
加えて、高知工科大学は、運用やシステムの最適化を目的として、新たにVMwareのプロフェッショナルサービスによるプロアクティブなサポート体制を採用しました。アカウントマネージャーが問い合わせの窓口となり問題の進捗管理、報告を行うとともに、担当のエンジニアが製品のQA対応やシステム環境に合わせた情報を定期的に案内、プロアクティブサポートを強化しシステムの安定稼働を目指します。福冨氏は、プロフェッショナルサービスについて次のように話します。
「これまでは、問題発生時の対処が個別的で、やりとりにも時間が掛かっていました。プロフェッショナルサービスの導入後は、専属のサポートチームが一元的に問題解決を管理してくれるので、運用をシンプルにすることができました。また現状の可視化や、課題の抽出も行なってくれるので、今後のリソース拡張の必要性を判断する材料としても有益です」
セキュリティを確保しながら、クラウド活用の推進へ
VDI基盤の整備と並行して、高知工科大学ではクラウド導入も積極的に進めています。今後の課題として高知工科大学が挙げたのが、BYODへの対応の強化やネットワーク仮想化の導入、さらにセキュリティ対策を踏まえたクラウド活用です。
「元々本学には、必要なものを内部に置いて停滞させるのではなく、外部の新しい人材やサービスを積極的に利用するという方針があります。ITについても、クラウドを活用することで、スリム化とコスト削減に繋げていくことになるでしょう」(福本氏)
「SaaSの活用や、GakuNinによるシングルサインオンへの対応の強化もクラウド推進の一部であると言えます。また、大学に必要なセキュリティ対策も重要です。例えば本学では、次世代WAFや、感染の横展開を防ぐためのEDRの導入など、先進的なセキュリティ対策を導入しています。クラウドへ持って行けばそれで終わりではなく、何を持っていくべきか、またセキュリティレベルをどう確保すべきか議論する必要があります」(福冨氏)
高知工科大学では、先進的なテクノロジーを活用した情報システムの進化を続けていきます。
お客様情報
お客様名 | 高知県公立大学法人 高知工科大学 |
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WEBサイト | https://www.kochi-tech.ac.jp/ |
カスタマープロフィール | 1997年に開学された高知工科大学は、4学群2キャンパス、約2,600人の学生を擁する公立大学です。「大学のあるべき姿を常に追求し、世界一流の大学を目指す」ことをビジョンとして掲げ、先進的な教育制度と研究設備の下で学生教育に取り組んでいます。 |
導入環境 |
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※本記載内容は2021年6月現在のものです。