2022年に登場したVMware vSphere+ / VMware vSAN+ は、オンプレミスのvSphere 環境を機能はそのまま、Subscription ライセンスで利用できるサービスとして注目されています。しかし、そのメリットは買い方が変わることだけではありません。VMware Cloud Console という新たなユーザーポータルのもと、さまざまな便利なサービスを提供しています。
目次
VMware vSphere+ の概要
vSphere+ が登場した背景
米国および日本で開催されたVMware Explore 2022では、「クラウドスマートな時代」「オンプレミスにクラウドの価値を」といったメッセージが随所に示されました。VMware はクラウドかオンプレミスかといった違いを問わず、さまざまなワークロードを適材適所で動かし、一元的に管理できる環境を実現しようとしているのです。
この一連の流れの中で新たにリリースされたのが vSphere+ です。IaaSからSaaSまで多様なクラウドサービスを利用することで多くのユーザーが感じている「運用管理がしやすい」「新しい技術をすぐに使える」「柔軟なコンサンプションモデル」といったメリットを、オンプレミスの仮想基盤にも取り入れていくものです。
vSphere+ が提供するメリット
vSphere+ とは、オンプレミスで運用しているホストやソフトウェアはそのまま、よりクラウドライクに利用できるvSphere の新しい運用形態です。オンプレミスのあらゆるワークロードをクラウドから一元的に管理・運用することで、次のようなメリットを提供します。
- VMware Cloud Console を用いた一元管理による運用効率性の向上
- 既存環境をKubernetesプラットフォームとして活用可能
- サブスクリプションライセンスで利用することができ、クラウドサービスとの連携も可能
なお、vSphere+を利用するためには、オンプレミスとクラウドポータルを結ぶゲートウェイとしてVMware vCenter Cloud Gatewayをデータセンターや各サイトに設置する必要があります。これによりVMware Cloud ConsoleからオンプレミスのvSphere環境の一元管理が可能となります。
VMware Cloud Consoleでできること
VMware Cloud ConsoleはvSphere+で提供されるクラウドベースの管理コンソールです。複数のサイトに運用しているvSphere 環境の状況を確認や仮想マシンの作成や管理、vCenter Server のバージョンアップなど運用管理のさまざまな操作をクラウド側から一元的に行うことが可能となります。サイトごとに運用していたvSphere 環境をVMware Cloud Console を通して一元管理することで管理者の運用の負荷を軽減し、運用効率性の向上を実現します。
vSphere 環境の利用状況を一元管理
VMware Cloud Consoleのサービスから「VMware vSphere+ / VMware vSAN+」にアクセスするとvCenter Serverの一覧(インベントリ)が表示されます。この一覧から任意のvCenter Serverを選択してアクセスすることで、その配下で運用しているvSphere環境のクラスタの数、ホストの台数および各ホストに実装されているCPUコアの数、その上で稼働している仮想マシンの台数などを確認することができます。
また、各サイトで発生しているアラートやイベント、リソース(CPU、メモリ、ストレージ)の使用率などをVMware Cloud Consoleから一元的に監視できます。サマリを並べてタイル形式で見ることも可能です。
このようにVMware Cloud Consoleの単一の画面から複数のvCenter Serverの管理が可能となり、複数サイトをまたいだ統合管理を実現します。
“推奨状態の構成” で複数のvCenter Serverの構成・設定チェック
「Desired State Configuration」では、vCenter Serverの構成や設定内容が、推奨される構成情報と合致しているかどうかコンプライアンスチェックを行うことができます。具体的な流れとしては、VMware Cloud Consoleでプロファイルを定義し、各サイトのvCenter Serverにアサインするという手順となります。なお、プロファイルに定義については、各vCenter Serverの中から参考とするものを選んで構成情報をインポートすることができます。
管理下の vCenter Serverのバージョンアップ
オンプレミスの各サイトで運用しているvCenter Serverのバージョンをチェックし、最新でない場合はその場からバージョンアップを行うことができます。VMware Cloud Consoleに使用可能なvCenter Serverの最新バージョンが表示され、事前チェックを行ったのちアップデートを実施する流れとなります。
VM作成/インベントリ管理
「Virtual Machines」では、VMware Cloud Console配下の仮想マシンを一覧で確認することができます。具体的にはどのコントロールプレーン、仮想アプライアンス、管理サービスの下で稼働しているのかなどを把握することが可能です。vSphere Clientを利用するのと同様にOSのタイプを選択し、ストレージを選択するといった手順で仮想マシンを作成することもできます。
VMware vSphereのライセンス
3つのライセンスモデル
現在、vSphere には、「Perpetual(永続)」「Term」「Subscription (クラウド接続型)」の3つのライセンスモデルが用意されています。また、いずれのライセンスモデルでも「Standard」と「Enterprise Plus」の2種類のエディションを選択することが可能です。
各ライセンスモデルで大きく異なるのは課金の方法です。Perpetualライセンスは従来どおりCPU単位の課金が行われます。これに対して新たに設けられたTermおよびSubscriptionライセンスではCPUコア数に応じた課金となります。なお、PerpetualおよびTermライセンスではインターネット接続は不要ですが、Subscriptionライセンスではインターネット接続が必須となります。
ここまで主に紹介してきたvSphere+は、上記の3つのライセンスモデルのうちのSubscriptionライセンスに該当するものとなります。
同様にvSANについても、Subscriptionライセンスとして新たに登場したものがvSAN+となります。なおvSAN+には、Standard、Advanced、Enterpriseの3種類のエディションが用意されています。
vSphere+ ライセンスで変わる課金対象、ソケットからコアへ
繰り返しますがvSphere+ は、上記の3つのライセンスモデルのうちのSubscriptionライセンスでの販売となります。コミットメント(有期間)ベースのSubscriptionを使用したモデルとしてSnS込みの1年、3年、5年の契約が可能で、長期の契約を選択するほど年間あたりの価格は割安となります。
CPUコア課金が適用され、1CPUあたり最低16コアからの契約が可能です。
vSphere+の利用要件
vSphere+を利用するには、各サイトに設置したvCenter Cloud Gatewayを介してオンプレミスのvSphere環境とVMware Cloud Consoleをインターネット接続する必要があります。
VMware ESXi 6.5以降(6.5.x / 6.7.x / 7.0.x)、vCenter Server 7.0U3g以降を利用していることが、その要件となります。またインターネット接続するにあたり、任意のファイアウォールポートを開く必要があります。
接続要件の詳細は以下のサイトを参照してください。
まとめ
vSphere+は、Subscriptionライセンスで利用できることができ、VMware Cloud Console の提供を通してオンプレミス環境の一元管理などクラウドライクな運用を実現することを最大の特徴としています。
加えて管理者向けサービスや開発者向けのサービスブロッカー、DR(災害復旧)サービス、各種アドオンサービスとの連携が可能であるほか、VMware Tanzu Standard Runtime Editionを包含しており既存環境を Kubernetesプラットフォームとして利用できるなど、先進的な活用をサポートしています。
オンプレミスのvSphere環境をvSphere+ / vSAN+でクラウドライクに使いこなすことで、お客様はマルチクラウド活用を加速させていくことができます。
本記事について詳しくは、次のビデオ・資料をご覧ください
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ハイパーバイザー VMware vSphere、そして組み込まれたストレージ機能である VMware vSANは仮想環境を構成するソフトウェアです。既存の機能はそのまま、サブスクリプションベースの新しい提供形態であるvSphere+/vSAN+とは何か?またその追加機能についてもご紹介します。
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