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DXの要となるデータ活用を加速するVMware Data Solutionsとは?

2023/01/31

ビジネスにおけるデジタル変革(DX)の必要性が認識されて以来、多くの企業がDXに取り組んでいます。そのDXにおいて価値創出の要となるのは、事業から生み出される膨大なデータです。コスト削減、ビジネスプロセスの改善、そして競争優位性を生み出すイノベーションを生み出すためには、これらのデータを効率的に収集、蓄積、分析を行い、事業にフィードバックしていくためのテクノロジーが欠かせません。本記事では、DXの推進を支援するモダンなデータ基盤を構築するためのVMware Data Solutionsについて紹介します。


目次


事業とアプリを繋ぐデータ基盤の重要性

企業におけるデータ活用にはハードルがあるとも言われています。経済産業省が2018年に発行したDXレポートの中では、既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中で、データを十分に活用しきれず、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうといった問題が指摘されています。例えば、サイロ化して柔軟性を欠いたインフラでは、新しい技術の導入は困難で時間が掛かる作業となり、データ連携のためのアーキテクチャを構成することも困難です。またDXを支えるアプリケーションを迅速にリリースするには、生産的かつ柔軟な開発環境を整える必要があります。つまりレポートでも指摘されている通り、既存のITシステムを巡る問題を解消することで、DXの本格的な展開が可能になるということです。言い換えれば、データ基盤の刷新とともに、インフラとアプリケーションを変革する必要があることを意味します。

※経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(2018年)

さらに、データ基盤とDXを支えるアプリケーションには深い繋がりがあります。ここでは製造業におけるデータ活用を例に、データとアプリケーションの関係性について見てみましょう。

上記の図のLayer 1は製造業の現場を表しています。稼働する機械の状況など様々なデータがセンサーによって計測されています。Layer 2のITエッジではLayer 1のセンサーデータを集約し、リアルタイム異常検知といったエッジ側で可能な処理を行うとともに、データの保管や分析に向けてデータ変換などの処理を行います。そしてLayer 3のデータセンター・クラウドで、Layer 2からのデータをデータレイクなどに蓄積し、本格的な分析や、BIツールなどでの活用が行われます。このようにデータ収集・分析・活用のあらゆるフェーズで、アプリケーションによる処理が行われています。

製造業に限らず、デジタルサービスはデータなくしては真価を発揮することができません。一方で、様々なビジネスから生み出されるデータを統合的に管理できなければ、データは分散化・サイロ化し、アプリケーションによる分析や活用が阻まれることになります。またビジネスが必要とする場所に、適切にアプリケーションを配置できなければ、せっかくのデータを活用することができません。そこで、コンテナ技術に代表されるアプリケーションのモダン化の必要が生じます。つまりデータ活用の支援とモダンアプリケーション開発の支援は、表裏一体のミッションなのです。これこそが、VMwareがデータ基盤にも力を入れる理由なのです。

コラム:VMwareとデータテクノロジーの関係

読者の皆様は、「VMwareがなぜデータ基盤を?」と意外に思われるかもしれません。確かに、多くのIT担当者にとって、VMwareはサーバ仮想化の企業として知られています。しかし実際には、現在のVMwareの事業ポートフォリオでは、クラウド管理、セキュリティ、モダンアプリケーション基盤などの新しい領域が、全体の70%を占めるまでに成長しています。VMware Data Solutionsは、現在VMwareが力を入れているモダンアプリケーションに属するソリューションです。

加えて、これも意外と知られていない事実ですが、VMwareとデータテクノロジーには深い繋がりがあります。例えば、VMware Greenplumはデータウェアハウスの基盤として広く利用されていますが、元々は2019年に買収したPivotalの製品で、15年以上の歴史を持つ成熟したソリューションです。このようにVMwareのデータ基盤ソリューションは、実は長い歴史と実績に支えられているのです。

VMware Data Solutionsとは何か

VMware Data Solutionsは、あらゆるデータを、あらゆるスケールで、クラウドを含むあらゆる場所で活用するためのソリューションです。事業から生み出されるデータ資産を、リアルタイムかつ大規模に収集、蓄積、処理を行うためのデータ基盤であり、VMware Tanzuポートフォリオの一翼を担っています。

VMware Data Solutionsの特徴は、すべての製品がクラウドネイティブなソフトウェア製品で構成されていることです。特定のハードウェアを前提としておらず、データ活用のニーズに応じて、オンプレミスやマルチクラウド、さらにはエッジ環境といった様々な環境にデプロイすることができます。またそれらの製品は、全て実績の伴ったオープンソースソフトウェアでもあります。広く利用されているだけでなく、VMwareがコアコントリビューターとして、積極的に開発をリードしています。

  • VMware SQL:MySQL・Postgresをベースにした、リレーショナルDBaaS(Database as a service)です。エンタープライズ級のスケーラビリティと信頼性、マルチクラウド・クラウドネイティブに対応し、開発者にセルフサービスアクセスを提供します
  • VMware RabbitMQ:MQTT、AMQPなど様々なプロトコルに対応したメッセージキューイング Rabbit MQをベースに、様々なサーバー、アプリケーション、およびデバイス間で信頼性の高いデータ通信を提供します
  • VMware GemFire:Apache Geodeをベースにした、インメモリ型のKey-Valueストアです。リアルタイムアプリケーションや分散アプリケーションに必要な、高速な読み取りと書き込みを実現します
  • VMware Greenplum:マルチクラウドによる大規模並列処理に対応したデータウェアハウス向けのデータベースです。開発者フレンドリーなSQLベースで、大規模データを高速処理することができます
  • VMware Spring Runtime (Spring Cloud Data Flow ):Springフレームワークをベースとした拡張性の高いストリーミング処理を提供します

以下の図は、VMware Data Solutionsの組み合わせ方の一例を表したリファレンスアーキテクチャです。中央データセンターで稼働するVMware Greenplumには、エッジ拠点の全データが蓄積されています。データの収集にはVMware RabbitMQが使われ、各拠点から集めてきたMQTTプロトコルのデータを同期して、中央データセンターに集約します。集約したデータは、VMware Greenplumによって分析することもできますし、必要に応じてデータ変換(ETL)処理を行い、VMware SQLや分析ツール、その他独自に開発したアプリケーションからも利用することもできます。また分析の結果、エッジ側で必要な処理が判明したら、開発拠点でエッジ向けアプリケーションを開発し、コンテナ形式で各拠点に配備することも可能です。VMware Tanzuは、コンテナやインフラ全体の管理を担い、アプリケーションの配布やアップグレードの実施、その他運用に関わる作業を自動化します。このようにしてVMware Data Solutionsは、データ収集・分析・活用に伴う複雑性や運用負荷を軽減し、アプリケーションがスムーズにデータを利用できる環境を整備します。

VMware Data Solutionsの活用事例

それでは、VMware Data Solutionsは実際の企業でどのように活用されているのでしょうか。2つの事例を紹介します。

ある鉱業会社では、電力最適化のためのデータ分析にVMware Data Solutionsが利用されています。工場で稼働する機器は、膨大な電力を消費します。経年劣化や、外見で分からない異常によって、消費電力が変動するという問題がありました。そこで第一段階として、工場の機器からのセンサーデータをVMware Rabbit MQで収集、VMware Greenplumによるデータウェアハウスに蓄積し、アプリケーションレイヤーで分析を行う仕組みを作りました。その結果、交換すべき箇所と、最新機器に交換した場合のコスト削減の見積りを建てられるようになりました。将来的には、データレイクによるさらなる大規模データの収集や、データマートの構築、GPUを活用したAI分析の実現なども目指して開発を進めています。

アメリカの運送会社であるPenske社では、トラックによる運送管理のためのデータ基盤として、VMware Data Solutionsを導入しています。具体的には、トラックの遠隔診断や、運送パフォーマンスの最適化、データ駆動による運送計画の管理などが目的です。トラックからのセンサーデータを、VMware Spring Cloud Data Flowによりストリーム処理を行い、データ変換しながら、VMware GemFire、VMware SQL、VMware Greenplumといったデータ基盤に蓄積し、マイクロサービス化されたアプリケーションで活用しています。このデータを収集し、蓄積し、アプリケーション側に受け渡す仕組みの構築を、VMwareは包括的に支援しています。

Penske社の事例について詳しくはこちら

まとめ

様々な業務やデバイスからのデータをビジネスに生かしていくためのデータ基盤を考える上では、アプリケーション、インフラ、ネットワーク、セキュリティなど様々な要素が密接に関連します。VMwareの強みは、これらの領域それぞれが独立しているのではなく、網羅的で一貫性のあるソリューションを提供していることにあります。同時に、VMwareのソリューションはマルチクラウドとオープンソース技術を前提としているので、中立的な立場でお客様をご支援できることも強みです。VMwareは、VMware Data Solutionsを通して、お客様のデータドリブンなビジネスを支える基盤の整備に貢献します。


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データ活用を加速する VMware Data Solutions

VMware Data Solutions はあらゆるデータを、あらゆるスケールで、オンプレミスとクラウド環境の両方で活用するためのソリューションです。
事業から生み出されるデータ資産を、リアルタイムかつ大規模に収集、蓄積、処理を行うためのデータ基盤であり、VMware Tanzuポートフォリオの一翼を担っています。本資料では、VMware Data Solution の製品をご紹介しています。

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