ネットワーク仮想化のメリット
続いて、ネットワーク仮想化のメリットについて記載します。まず始めに、ネットワーク仮想化の仕組みから解説します。VMware が提供するネットワーク仮想化では、これまで物理ネットワーク機器が提供していたネットワークの機能を仮想化し、仮想化共通基盤上でネットワーク機能を提供することが可能です。
仮想化共通基盤の通信内容を改めて確認すると、そのほとんどの通信がデータセンター内で必要な通信で完結していることがわかります。このうち、約半分近くの通信は、L3スイッチやファイアウォール、ロードバランサーを経由するルーティングが必要な通信です。
ネットワークを仮想化することで、このルーティングが必要な通信に関しても、全て物理的なルーター、ロードバランサー、ファイアウォールを介さずに通信を完結することが可能になります。これによって、物理ネットワーク機器のダウンサイジングを図ることができ、更なるコスト削減効果が期待できます。また、統合的なネットワーク機器を経由する必要が無くなることにより、ネットワーク設定や障害時の影響範囲の最小化、システム単位にネットワーク機能を払い出すことによるマルチテナントの実現、仮想マシン単位のきめ細やかなファイアウォール機能の提供、物理ネットワーク機器の設定変更を伴わない柔軟なネットワークの提供など、コスト以外のメリットも多岐にわたります。
ストレージ仮想化のメリット
ストレージ仮想化は、汎用的な物理サーバの内蔵ディスクを使用し、仮想的な共有ストレージを構成する技術です。性能を担保するキャッシュ層と、容量を担保するキャパシティ層で分かれています。
従来の物理的な共有ストレージの仕組みで仮想化共通基盤を構築すると、物理的なディスクを束ねて構成するRAIDやLUNの考え方により、データの格納領域が細かく細分化されることでディスク容量や性能を十分に使い切れない非効率化が生じていました。また、容量を後から追加する時も別のデータ格納領域として扱う必要があるなど、拡張時における課題も発生しています。ストレージを仮想化すると、物理的な制約を取り払い仮想マシン単位で柔軟に容量や性能の割り当てをすることが可能になります。これによって、容量効率をあげるだけでは無く、後から物理サーバを追加するだけでデータ容量を増やす拡張性の向上と、RAID設計を始めとした物理的な共有ストレージの設計構築費を削減することが可能になります。