課題を解決

HCIのメリットをあらゆる企業に提供する 2ノードvSAN導入のススメ(2/2)

2018/11/29

2ノードvSANの導入効果を最大化するポイント

ただし、2ノードvSANを運用する上では、あらかじめ知っておくべきいくつかの注意点もあります。

ひとつは、「HCI環境の停止時に、必ずVMware ESXi™ Serverのメンテナンスモードを有効にすること」です。稲葉氏は、「仮想マシンが停止していてもvSANのデータ管理は動き続けているので、安全に停止させるにはメンテナンスモードに切り替えることが重要です。シャットダウン手順にこの1つを追加するだけで、これまで慣れ親しんできたVMware vSphere環境と変わらない運用を実現することができます」と説明します。

また、電源対策も決して疎かにしてはならない重要なポイントです。小規模な2ノードvSANならではの特徴のひとつですが、データセンターではなくオフィスの一角に設置されるケースもあります。そこではビルの法定停電や瞬電が起こるリスクが常に生じるため、稲葉氏は「UPS(無停電電源装置)も併せて導入を検討すべきです」と説きます。

もっとも、せっかくシンプルなHCI構成を求めて2ノードvSANを導入したにもかかわらず、別立てで電源管理のサーバを用意するのは避けたいところです。そうした中で稲葉氏が注目しているメーカーの1つがオムロンのUPSです。オムロンのUPSに搭載するネットワークカードには電源管理サーバの機能が実装されています。これならば電源管理用の物理サーバは不要となります。「ホストサーバの起動とシャットダウンの両方をサポートし、分かりやすいGUIで設定も簡単です。オムロンと言うとヘルスケア商品の印象が強いかもしれませんが、実は30年以上にわたってUPSを提供し、国内で高いシェアを確保している有力メーカーであり、十分に安心できます」と稲葉氏は話します。

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そして3つめの注意点が、データのバックアップです。2ノードvSANを含めたVMware vSANのデータはすべてデータストアに格納されており、スナップショット機能を利用することで直近のデータに簡単に戻すことができます。しかし、ディスクの多重障害が発生したり、ランサムウェア感染や人的ミスでデータを失ったりする可能性もあります。こうした事態では、バックアップデータから復旧するしかないのが実情です。

先述のVMworld 2018のアナウンスでも紹介したように、将来的にはVMware vSAN自体にバックアップ機能が実装されることが期待できますが、現時点では自前でバックアップの仕組みを導入する必要があります。

市場にはさまざまなバックアップ製品が流通しており、企業ごとの要件にあわせて選択することが可能ですが、国際基督教大学(ICU)におけるVMware vSANの導入事例で採用されたバックアップ/リカバリー製品として、稲葉氏が紹介するのが「Arcserve Unified Data Protection」(Arcserve UDP)です。

VMはもちろんファイル単位やフォルダ単位にも対応したエージェントレスのバックアップ手順、新しく追加されたVMware vSANのノードを自動検知する自動バックアップ、ICUの事例では約30TBのデータを1.6TBにまで削減できた重複排除などの特長をフォーカスすると共に、既存環境からのデータ移行にもこの仕組みを利用できる点に言及。「Arcserve UDPの『仮想スタンバイ』と呼ばれる機能を活用し、サービスを止めることなく既存環境からデータを吸い上げ、その場でリアルタイムにVMware vSAN環境にリカバリーすることで、瞬時にサービスを切り替えることができます」と稲葉氏は強調します。

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繰り返しますが、HCI環境を実現するにあたってVMware vSANに大きな魅力を感じながらも、特に小規模環境では膨らむコストや運用性などがネックとなり、導入を見送っていた企業は少なくありません。しかし2ノードvSANであれば、上記のような注意点に配慮するだけでHCIのメリットを余すことなく享受することが可能です。サーバやストレージの保守切れのタイミングにあわせて、ぜひ2ノードvSANによるHCI環境の実現を検討してみてはいかがでしょうか。


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