導入事例

【VMware vSAN 導入事例】 東部ガス株式会社 様

2022/10/07

3Tier構成の仮想化基盤で運用してきた情報系システムをVMware vSANベースのHCIに再統合し、クラウドライクなサービス基盤を実現

秋田・福島・茨城エリアにおいて都市ガス事業を展開する東部ガスは、情報系システムを運用してきた仮想化基盤が更新時期を迎え、「よりクラウドライクに利用できる仮想化基盤」への刷新を目指しました。そして導入したのが、VMware vSANをベースとするHCI(ハイパーコンバージドインフラ)です。移行にかかるコストを最小限に抑えつつ、東部ガスが推進する“攻めのIT活用”に資する最適な仮想化基盤として選定されたもので、必要な時に、必要な規模の仮想マシンをすぐに準備し、顧客のニーズやビジネスの変化にアジャイルに追随できる環境を実現しました。

導入前の課題

  • 従来の3Tier構成の仮想化基盤ではリソース拡張が困難
  • 新たな業務ニーズに迅速に対応することが困難
  • 障害対応やバージョンアップにも多くの時間と人手が必要

導入効果

  • 柔軟性をもったリソース拡張が行える仮想化基盤を実現
  • 新たなビジネス/サービスをよりスピーディに立ち上げられる環境を実現
  • インフラのアップデート作業に要する期間を従来の約1週間から1日に短縮

「今回の仮想化基盤の移行は東部ガスが総合エネルギー事業者に成長すべく、“本丸”である基幹系システムの移行を見据えた第1フェーズとなります。VMware vSANを活用し、新しいサービスを迅速かつ柔軟に展開できるシステムを目指します」

プロジェクトメンバー

プロジェクトメンバー

顧客と対面で接してきた強みをデジタルの世界でも生かしていく

東部ガスは1937年の設立以来、秋田・福島・茨城の3県において、都市ガスの安定供給と普及拡大に努めてきました。そして現在、「地域で一番信頼される会社」というビジョンを掲げ、都市ガス以外のサービスの拡充にも取り組んでいます。

その一環として2017年にスタートした「ウチ住(じゅう)まるごとサービス」は、家庭の困り事や悩み事を解消すべく、リフォームや家電販売、ハウスクリーニングなど生活に関わる幅広いサービスを幅広く提供。地域の顧客から好評を博しています。

さらに同社は、ITの活用にも積極的に取り組んでいます。2021年には契約者向けのポータルサイト「ウチ住まるごとナビ」をリリース。ガスや電気の契約情報や料金明細、使用量などを手元のPCやスマートフォンで確認できるサービスで、ガスや電気料金の支払い方法の変更などにも対応しています。

同社 情報システムグループ システム企画・開発チーム サブマネージャーの吉田教弘氏は、「私たちが長年培ってきたお客様との接点業務における多くのノウハウをデジタルの世界でも生かすべく、“攻めのIT活用”を推進しています」と話します。

具体的に同社は、これまでどんな形でITシステムの導入を進めてきたのでしょうか。インフラを大きく見直すきかっけとなったのが、2011年の東日本大震災です。拠点ごとに設置したサーバーが被災したことを重く受け止めた同社は、今後の事業継続性を考慮し、分散していた基幹系システムを2014年にデータセンターに集約。VMware vSphereベースの仮想化基盤に統合しました。

さらに2016年には、グループウェアやWSUS(Windows Server Update Services)、端末管理、資産管理などの情報系システムを統合した仮想化基盤についても、基幹系システムと同じデータセンターに移設しています。

DXに資する仮想化基盤としてVMware vSANが最適と考えて提案

それから5年が過ぎた2021年、情報系システムの仮想化基盤は更新時期を迎えました。これを機に同社が求めたのが、「よりクラウドライクに利用できる仮想化基盤」への刷新です。

東部ガス 情報システムグループ システム企画・開発チーム チーフの鈴木暢氏は、その意図を次のように話します。

「情報系システムの仮想マシンは業務内容の変化や追加に応じて日々、拡大していますが、従来の3 Tier構成の仮想化基盤ではホストサーバーやストレージなどのリソース拡張を柔軟に行うことができず、新たな業務ニーズに迅速に対応することが困難でした。また、各機器を個別に管理する必要があり、障害対応やバージョンアップにも多くの時間と人手を取られていました。新しい仮想化基盤ではこの課題を解消したいと考えたのです」

さらに同社は2025年に基幹系システムの更新も控えており、「今回の仮想化基盤の移行は、その“本丸”を見据えた第1フェーズとなります」と吉田氏は強調します。

そして上記のような要望をSIパートナーの日立システムズに投げかけたところ、提案されたのがVMware vSANをベースとするHCIです。

日立システムズの淺川康博氏は、「移行にかかるコストを最小限に抑えつつ、お客様が推進する攻めのIT活用、ひいてはDXに資するストレージ仮想化の基盤としてVMware vSANが最適という考えに至りました」と話します。

続けて日立システムズの田中健太氏は、「将来的にはクラウドサービスの活用も視野に入りますが、オンプレミスよりコストが高くなってしまうおそれがあり、契約者の個人情報などを社外に出せないお客様の事情もあります。そうした諸条件を考慮した上で、最もクラウドサービスの様に柔軟な拡張性を提供できるのがVMware vSANです」と補足します。

なお、VMware vSANをベースとするHCI製品として、日立システムズはデル・テクノロジーズの「Dell VxRail」を選定・提案しています。

「Dell VxRailではバージョンアップ時にも事前検証済みのプログラムが一括で提供されるなど、運用負荷が大きく軽減されます。また、Dell VxRailはDell TechnologiesとVMwareが共同開発した製品であるため、障害時の原因切り分けなどで悩まされることなく、保守窓口も一元化されます。使い慣れたVMware vCenterで運用管理を行えるなど、お客様がこれまで培ってきたVMware製品のノウハウやスキルをそのまま継承して活用できるのも大きなメリットです」と淺川氏は話します。

新規事業の強力な武器となるITシステムのアジリティを実現

Dell VxRailは2022年1月に搬入され、東部ガスはその後約3か月をかけて業務アプリケーションの構築/移行を行ってきました。日立システムズの水見岳史氏は、「Dell VxRailはHCIとしての初期設定をすべて完了した状態で引き渡されるため、すぐに仮想マシンを構築できるなど、作業はスムーズに進みました」と話します。

こうしてVMware vSANをベースとする新たなHCIは、同年4月より本稼働開始。東部ガスの事業において早くも多くの効果を生み出し始めています。

「必要な時に、必要な規模の仮想マシンをすぐに準備できる、ビジネスの変化に迅速に追随できる環境が実現しました」と語るのは鈴木氏です。

「仮想化基盤のリソースにはまだ十分な余力があるほか、仮に今後足りなくなった場合でも単純にノードを追加するだけで拡張できるため、従来の3Tier構成のようなリソース調達の長いタイムラグは発生しません。ビジネスチャンスを逃すことなく、新しいサービスを迅速かつ柔軟に展開できる、新規事業の強力な武器となるITシステムのアジリティをこの新たな仮想化基盤から提供していきます」と鈴木氏は、今後を展望しています。

プラットフォームとしてのDell VxRailも、仮想化基盤の運用負荷軽減に大きく貢献しています。

「すでに一度ローリングアップデートを実施しましたが、健全性チェックを行った後、実際のアップデートはワンクリックするだけでよく、1日以内ですべての作業が完了します。従来はアップデートファイルのバージョン整合性の確認や、作業手順の洗い出しなどで約1週間を費やしていたことを思えば、圧倒的な時間短縮です」と淺川氏。

さらに「従来の仮想化基盤では手作業で行わなければならなかった脆弱性チェックについても、デル・テクノロジーズ側でのサポートを受けられます。運用負荷軽減はもとより、セキュリティ向上の観点からも大きなメリットです」と水見氏は強調します。

マルチクラウドを見据えながら、より柔軟な運用のあり方を検討

前述したとおり東部ガスでは2025年に基幹系システムの移行を控えており、情報系システムに続く第2フェーズとして、HCIへの統合に向けた準備を進めています。

「東部ガスが総合エネルギー事業者に成長していくため、さまざまなサービス展開を強力に支えていくシステムを目指します」と語る吉田氏は、一方でHCIとクラウドの相性良さにも注目しています。

HCIと多様な外部サービスを連携させたマルチクラウドへの発展を見据えつつ、事業環境やユーザーニーズの変化に応じてシステムを最適な場所に配置するといった、より柔軟かつ機動的な運用のあり方を検討しているのです。

「たとえば契約者の個人情報についてもセキュリティを厳重に担保できる仕組みを実装できれば、基幹系システムの一部をクラウドに移すことで社外からもお客様対応が可能となるなど、従業員の働き方の選択肢が広がります」と吉田氏は語り、ゼロトラスト・セキュリティの導入やファイルサーバーの改善をはじめ、“攻めのIT活用”を体現するさまざまなテーマに果敢にチャレンジしていく構えです。

プロジェクトメンバーのご紹介

東部ガス株式会社 情報システムグループ システム企画・開発チーム サブマネージャー 吉田 教弘氏
東部ガス株式会社
情報システムグループ
システム企画・開発チーム
サブマネージャー
吉田 教弘氏
東部ガス株式会社 情報システムグループ システム企画・開発チーム チーフ 鈴木 暢氏
東部ガス株式会社
情報システムグループ
システム企画・開発チーム
チーフ
鈴木 暢氏
株式会社日立システムズ 社会情報サービス事業部 社会システム第二本部 デジタルトランスフォーメーション推進部 第三グループ 技師 淺川 康博氏
株式会社日立システムズ
社会情報サービス事業部
社会システム第二本部
デジタルトランスフォーメーション推進部
第三グループ
技師
淺川 康博氏
株式会社日立システムズ 社会情報サービス事業部 社会システム第二本部 デジタルトランスフォーメーション推進部 第三グループ 技師 水見 岳史氏
株式会社日立システムズ
社会情報サービス事業部
社会システム第二本部
デジタルトランスフォーメーション推進部
第三グループ
技師
水見 岳史氏
株式会社日立システムズ 公共・社会営業統括本部 第五営業本部 第二営業部 第三グループ 主任 田中 健太氏
株式会社日立システムズ
公共・社会営業統括本部
第五営業本部
第二営業部 第三グループ
主任
田中 健太氏

お客様情報

お客様名 東部ガス株式会社
WEBサイト https://www.tobugas.co.jp/
カスタマープロフィール 1937年に設立。秋田・福島・茨城の3県において、都市ガスの安定供給と普及拡大に努めてきた。電力や都市ガスの小売り全面自由化が始まり、エネルギー業界全体が都市ガス・電力・石油・LPガスなどの垣根を持たない大競争時代に突入する中で、「地域で一番信頼される企業」を目指すというスタンスを一貫して守っている。
導入パートナー 株式会社日立システムズ
導入製品
  • VMware vSphere
  • VMware vSAN
  • Dell VxRail

※本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記載内容は2022年7月現在のものです。

おすすめ資料ダウンロード

最新の「導入事例」

人気の記事

関連情報

TOP