クラウドサービスへの関心が急速に高まる一方で、オンプレミスの世界で堅調な市場拡大を続けているのがHCI Powered by VMware vSANをはじめとするハイパーコンバージ ドインフラ(HCI)製品です。HCIとはサーバ仮想環境を構成するホスト上に、ソフトウェア定義のストレージ(SDS)機能によるデータストアを統合したものです。「拡張性」「柔軟性」「一括管理」といった特長を生かすことで、従来になかったハードウェア投資の削減、運用管理コストの削減、情報システム部門の負担軽減などを実現するソリューションとして期待が集まっています。クラウドと同様のメリットが注目されているわけですが、その真価を発揮させるためには、もう一工夫が必要です。クラウドのようなHCIの運用を実現するための方法を、ネットワールドの今泉 貴大氏が解説します。
マーケティング本部
ソリューションマーケティング部
SDソリューション課
今泉 貴大 氏
オンプレミス市場で拡大を続ける
ハイパーコンバージド インフラ(HCI)が注目される理由
現在、多くの企業がクラウドへの関心を高めています。さまざまな調査結果を見ると、日本においても40~50%の企業が社内システムのほぼ全部または一部をクラウドサービスへ移行することを検討しています。大手のみならず中堅・中小規模の企業にとってもクラウドサービスは、すでに当たり前の選択肢になったと言って間違いないようです。
しかしながら逆の見方をすれば、依然として残り半分以上の企業は、オンプレミスでシステム運用を継続したいと考えているのも事実です。
そして、このオンプレミスの市場で今、あるソリューションが関心を高めています。それはHCI Powered by VMware vSANをはじめとするHCI製品です。
ネットワールド マーケティング本部 ソリューションマーケティング部SDソリューション課の今泉 貴大氏は、「さまざまな調査結果のほか、私たちの肌感覚でもHCIは年率30%以上の需要の伸びを見せており、その市場は今後も堅調に拡大していくと見ています」と話します。
なぜ、HCIが注目されているのでしょうか。その理由として今泉氏が挙げるのは、HCIが提供する「拡張性」「柔軟性」「一括管理」という特長です。
「この3つのメリットによりHCIは、オンプレミスの世界で従来になかったようなハードウェア投資の削減、運用管理コストの削減を実現し、情報システム部門の負担軽減を進めていきます。端的に言えば、オンプレミスでありながらもクラウドライクな運用・活用が可能となる点が、HCIの魅力として多くの企業に受け止められています」(今泉氏)
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)でも課題は残る
ネットワークの管理は相変わらず大変
もっとも、HCIといえども万能ではありません。実際、情報システム部門の運用管理者の間からも「サーバが増やしやすくなるのはいいけど、逆にネットワークの管理が大変になりませんか?」といった疑問の声が上がっています。
この疑問はまさにそのとおりで、ネットワーク設定は相変わらず複雑かつ大変です。HCIになったとしても、ルーター、L2スイッチ、L3スイッチ、ロードバランサー、物理ファイアウォールなどのネットワーク機器がなくなるわけではないからです。これらのネットワーク機器は、それぞれ独立してネットワーク制御やデータ転送処理を行っています。
したがってネットワーク機器間では常に整合性の取れた設定が必要です。「結果としてHCI上に展開する仮想マシンの数が増えるたびに設定事項が増えることで管理が複雑化し、1つの設定ミスが致命的影響を及ぼすリスクが高まっていきます」と今泉氏は指摘します。