あらゆる企業においてOffice 365をはじめとするSaaSの利用が当たり前の時代となりましたが、一方でオンプレミスのシステム利用を前提としたWAN(広域ネットワーク)に起因するさまざまな問題が顕在化しています。日本マイクロソフト株式会社とヴイエムウェア株式会社は、この課題に対する新たな解決策を提唱すべくセミナーを開催。具体的なソリューションとしてVMware SD-WAN by VeloCloud®(以降、VMware SD-WAN)とVMware Horizon® Cloud on Azureの活用法を紹介すると共に、両社が共同で実施した検証作業から得られた効果を共同セミナーとして提示しました。
20年後を見据えたVMware のネットワークビジョン Virtual Cloud Network
SaaSの利用を阻害する課題と解決のアプローチ
マイクロソフトのOffice 365をはじめとするSaaSの利用が拡大する一方で、ユーザーの快適性を阻害するさまざまな問題が顕在化しています。
なかでも深刻化しているのがバックホール問題と言われるネットワークの接続形態による問題です。SaaSの主な接続先はインターネットとなりますが、これまでの多くのエンタープライズネットワークにおいてはセキュリティポリシーによりブランチサイトから直接外部に接続することを許可しておらず、常にインターネットアクセスがデータセンターを経由することに起因するものです。このネットワークをこのまま放置した場合、SaaSアクセスにより集中するトラフィックによりアプリケーションのパフォーマンスが劣化し、データセンターからインターネットへ抜けるためのセキュリティデバイスやアクセス回線を増強するために多額の追加投資を余儀なくされてしまいます。
日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業本部 モダンワークプレイス統括本部 グローバルアカウント技術営業部の部長を務める八木沼 剛一郎氏は、この課題の解決策として、「企業ネットワークをクラウドネイティブにする」という新方針を提言。「企業ネットワークを極小化し、端末をインターネットに直結することで、生産性とセキュリティを向上させ、同時にコスト削減を図ることが可能となります」と語りました。
Virtual Cloud Networkの概要
従来の企業ネットワークはオンプレミスのシステム利用を前提として、データセンターや本社、支店、工場などのインフラ要件に対応すべく個別最適で構築されてきました。
これに対して今後の企業ネットワークはどうあるべきか。ヴイエムウェア ソリューションビジネス本部 ネットワーク&セキュリティ技術部の部長を務める大平 伸一氏は、「クラウド基盤を活用したデジタルエンタープライズにふさわしいネットワークとセキュリティの新たなモデルを定義する必要があります」と説きました。
この新たなネットワークアプローチに基づき、マルチクラウド戦略を推進するヴイエムウェアが、次の20年に向けて提唱しているのが、「Virtual Cloud Network」というビジョンです。データセンターからブランチ、クラウドまでのエンドツーエンドのネットワークとセキュリティの一貫性を確保するもので、大きく次の3つの特長をもっています。
- クラウドネットワークファブリック
柔軟でプログラムが可能なネットワークファブリックを設計し、データとアプリケーションが存在するすべての場所とつなぐ - ビルドインされたセキュリティ
透過性の高い組み込み済みのセキュリティを提供する - ソフトウェアによるネットワークの提供
サービスとして提供できるソフトウェア定義のネットワークを実現する
ヴイエムウェアは分散仮想スイッチから始まり、10年以上にわたりソフトウェアによるネットワークとセキュリティを追求してきた歴史があります。Virtual Cloud Networkは、その技術と実績の延長線上で実現するもので、「企業のビジネストランスフォーメーションを実現すると共にSaaS利用の課題を解決します」と大平氏は強調しました。