統合データ管理を見据えたVMware vSAN環境バックアップの在り方
2020年以降のバックアップはインフラ主導型からデータ主導型へ
デジタルトランスフォーメーションが加速する現在、データこそが収益を生み出す源泉となっています。しかし、この重要なデータをどこまで保護できているでしょうか。既存のバックアップは万一の事態のための“保険”にすぎず、バックアップデータそのものはビジネスにまったく活かされていません。
このような非活性データをいかにして活性データに変えていくか――。2020年以降、バックアップはインフラ主導型のデータ保護から、データ主導型の統合データ管理に移行していくと考えられます。そこに向かう過渡期として、バックアップデータやアーカイブ、複製データ、システム開発時のテンポラリデータなど、本番データ以外のデータをすべて統合するコピーデータ管理の重要性が増しています。
SDS環境に“安心”をもたらすバックアップ
昨今、データ主導型のITインフラの選択肢としてプライマリ環境にSDS(Software-Defined Storage)を活用するケースが増えてきました。VMware vSANは、複数のホストサーバに内蔵されたSSDやHDDを仮想的に束ねて1つのデータストアとして機能させるSDSの代表的なソリューションで、仮想環境の運用で必須とされていた外付け共有ストレージを不要とします。HCI(ハイパーコンバージドインフラ)を実現し、これまでサーバとストレージに分断されていたデータ管理をVMware vSphereのハイパーバイザー層に統合するのです。
しかし、依然として共有ディスクを使用しないことに不安に感じているユーザーが数多くいることも事実です。そうした懸念を払拭し、SDS環境を安心かつ最適に保護するためにも非常に重要な施策となるのがバックアップです。
VMware vSAN環境におけるバックアップの検討ポイント
ただし、VMware vSAN環境においてもデータ損失のリスクがなくなるわけではありません。ユーザーの操作ミスやハードウェア(ホストサーバ)の故障、激甚災害などによってデータが失われる可能性があり、VMware vSANの特性を理解した上で重要データを保護する仕組みを整えておく必要があります。
VMware vSAN環境のバックアップで検討すべきは、次の3つのポイントです。
- バックアップサーバはどうする?(物理サーバ or 仮想サーバ)
- 保存先はどうする?(仮想ストレージ or 外部ストレージ)
- 想定するリスクと復旧方法は?(全損失/復旧 or 部分損失/復旧)