コンテンツ提供:SB C&S株式会社 / 株式会社ネットワールド
VMware vSphere 8の登場により、VMware vSphere+などの新しい提供モデルが加わりました。VMwareパートナー各社も、vSphereの新たな展開に、大きな関心を寄せています。そこで本記事では、長年VMware製品の導入支援を手掛けてきたエキスパートである、SB C&S株式会社の熊谷 哲人氏と株式会社ネットワールドの工藤 真臣氏の対談を通して、ディストリビューターの視点から、新しいvSphereの魅力について探ります。
工藤 真臣 氏
株式会社ネットワールド
ソリューションアーキテクト課
部長代理
熊谷 哲人 氏
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部
第1技術部 部長
目次
- vSphere+のライセンスは、従来と何が違うのか
- vSphere+は、従来と比べてお買い得か?
- エキスパートが注目するvSphere+の新機能とは?
- vSphere+の導入支援に向けた取り組み
- オンプレミスでもVMwareのクラウド技術を体験しよう
- vSphere+ へのアップグレードについてさらに詳しく
vSphere+のライセンスは、従来と何が違うのか
工藤 vSphere 8から、新たな提供モデルとしてSubscriptionライセンスが加わりました。まずは熊谷さんのほうから従来のvSphereのライセンスとの違いについて、どのように捉えられているかお聞かせください。
熊谷 はい。これまでは、VMware ESXiホストを導入するサーバのCPUソケット数に応じて、ライセンスを購入していました。一度購入すれば永続的に使用できますが、保守サポートや、vSphere環境を統合管理するためのvCenter Serverのライセンスは、別途購入する必要があります。従来の方式を、現在のライセンス体系ではPerpetualライセンスと呼ばれています。
一方、Subscriptionライセンスでは、従来のCPU数による課金ではなく、CPUコア数による課金になります。また利用期間は永続的ではなく、期間を指定しての前払いになります。一方、両者のライセンスには、Perpetualライセンスでは別売りだった、保守サポートやvCenter Serverのライセンスも含まれます。
SB C&S株式会社 熊谷 哲人 氏、株式会社ネットワールド 工藤 真臣 氏
工藤 SubscriptionライセンスにはConnected(クラウド接続型)とDisconnected(クラウド非接続型)の2種類があると思うのですが、両者の違いは何でしょうか。
熊谷 SubscriptionライセンスのConnectedは、vSphere 8から登場したサービスである、vSphere+のためのライセンスです。vSphere+は、通常のvSphereに様々な機能をアドオンしたサービスで、クラウドによるオンプレミス環境の集中管理を実現できます。ただし、vSphere+を利用するにはクラウドへの接続が必要です。インターネット接続ができない場合には、SubscriptionライセンスのDisconnectedを利用することになります。
工藤 vSphere+ではライセンスキーが不要になるのが魅力的ですね。
熊谷 そうですね。従来はVMware Customer Connectで環境ごとにライセンスキーを払い出す必要がありました。vSphere+では、クラウドアクティベーションが可能なので、管理の負担も減らすことができます。
vSphere+は、従来と比べてお買い得か?
熊谷 従来のPerpetualライセンスにおけるCPU課金では、1CPUあたり32コアまでを1ライセンスとし、それ以上のコア数では追加ライセンスが必要でしたが、Subscriptionライセンスではこちらの上限に関する考慮点については、いかがでしょうか。
工藤 新しいライセンスでは、コア数課金なので、上限はありません。ただしコア数が増えるほど、当然費用も増えます。
熊谷 コストの観点では、サーバ導入時にリーズナブルなCPUコア数の見極めが重要ですね。
工藤 Subscriptionライセンスの費用感が、Perpetualライセンスと比較してどう変わるのか気になる方が多いと思います。そこで、ライセンス形態の違いによる、新規購入の場合のCPUコアごとの費用を比較したのが、下の表になります。
このように、vSphere+ Standard/vSphere Standardでは24コアまで、上位版の vSphere+/vSphere Enterprise Plusでは20コアまでだと、従来のPerpetualライセンスより費用が下がります。実際、VMwareユーザーにお話を聞くと、16〜24コアのサーバを導入していることが多いそうなので、多くの場合、Subscriptionライセンスは実質値下げされたライセンスと言えるでしょう。
熊谷 新規購入の場合、割安になることが多いのは理解できました。ただ、初期投資済みの既存ユーザーがvSphere+への乗り換えを検討しようとすると、結局割高にならないかと心配になるユーザーもいらっしゃると思うのですが。
工藤 そこでVMwareは、vSphereの既存ユーザー向けに、Subscription Upgrade Programを提供しています。
従来のPerpetualライセンスをお持ちのユーザーであれば、割安な価格でSubscriptionライセンスに切り替えることができます。その際16コアを超えた費用は、Subscription Upgarade Programの初回適用時のみ、1CPUあたり32コアまでVMwareが全額負担します。下の表の試算にあるとおり、ほとんどのすべての場合でPerpetualライセンスを更新するよりお求めやすい費用感になります。このSubscription Upgrade Programによる価格優遇があることで、導入のハードルが大きく下がるのではないでしょうか。
ただし、オフラインで利用できるDisconnected Subscriptionライセンスについては、本キャンペーンが適用可能となるのは、一定規模以上の包括契約のお客様のみなので、ご注意ください。
株式会社ネットワールド 工藤 真臣 氏
エキスパートが注目するvSphere+の新機能とは?
工藤 通常のvSphereに対してvSphere+では、追加される機能もあると思うのですが、熊谷さんが注目されている機能などはあるでしょうか。
熊谷 vSphere+の大きな特徴の一つが、VMware Cloud Consoleで、vSphere環境をクラウドから集中管理できることです。複数のVMware vCenter Serverに紐づいた仮想マシンの一括管理や、仮想マシン自体を展開することも可能です。IT基盤の規模が大きくなると、各環境の確認が大変になりがちですが、VMware Cloud Consoleで複数の環境を一元的に確認できるので、運用負荷をかなり軽減できます。
工藤 他のVMware製品では、クラウドとの接続に仮想アプライアンスを立てますが、vSphere+でも同様の方法でしょうか。
熊谷 はい、vCenter Cloud Gatewayという仮想アプライアンスを、インターネット接続が可能なオンプレミス環境に導入することが必要です。
工藤 仮想アプライアンスを導入すると、アップデートやバックアップなどのメンテナンス工数が増えるのではないかと、心配するお客様の声をよく聞きます。
熊谷 vCenter Cloud Gateway自体はステートレスなので、特にバックアップは必要ではありません。またアップデートも自動的に行われるので、管理の負担が増えることもありません。ただし、vSphere本体は、ユーザー自身でアップデートを実施する必要があります。工藤さんのほうでも注目されている機能があれば教えていただけますか。
SB C&S株式会社 熊谷 哲人 氏
工藤 アップデートと言えば、VMware Cloud ConsoleでvCenterのアップデートが簡単にできる点が気に入っています。従来、vCenterのアップデートは、複数のvSphere環境や他のVMware製品と連携していると、かなり複雑な作業でした。VMware Cloud Consoleであれば、vCenterのアップデートを、クラウドで集中管理できるので、運用管理がかなり楽になると期待しています。停止時間を最小限に押さえてアップデートできる仕組みも、よくできています。そして8月に開催されたVMware ExploreではESXiのアップデートもできるようになると発表がありましたね。熊谷さんは、他に気になっている機能はありますか。
熊谷 もうひとつ日々のシステム管理の負担を軽減してくれると期待しているのが、セキュリティヘルスチェック機能です。これは、VMwareが推奨するESXiやvCenter Serverなどの設定と、実際のセキュリティ設定が異なっていた場合、警告を出すとともに、適切な解決策を提供してくれる機能です。例えば、SSHが常に有効になっていないかなど、セキュリティ設定を常時チェックしてくれます。
工藤 セキュリティの不備を指摘するだけでなく、直し方まで教えてくれるのが、現代的ですごく良いですね。
vSphere+の導入支援に向けた取り組み
工藤 ここまで、vSphere+をはじめ、新しいvSphereの特徴について紹介してきました。私達VMwareディストリビューターも、お客様への導入支援に向けて、様々な取り組みを行っています。まずは、SB C&Sの取り組みをお聞きしてもいいでしょうか。
熊谷 SB C&Sのブログやオンラインセミナーでは、VMware製品の幅広いハンズオンコンテンツを提供しています。vSphere+についても、早期から検証を行い、導入チュートリアルの提供や、導入時のご相談窓口の設置など、いち早く体制を整えています。vSphere+を検討する際には、vSphereのバージョンアップも一緒に検討されることが多いです。そのため、vSphere 8へのアップグレード手順や、サブスクリプションによる最新のVMware技術の享受について、積極的に情報発信しています。また、vSphere+の検証環境も準備中です。VMware Cloudのアカウントをお持ちの場合、14日間のトライアルが可能ですが、それでは評価する期間が短い場合にお勧めのサービスです。
SB C&S株式会社 熊谷 哲人 氏、株式会社ネットワールド 工藤 真臣 氏
工藤 ネットワールドも、ユーザーやパートナー向けに、vSphere+の導入の情報発信そして導入支援サービスを提供しています。ライセンスの違いや購入の注意点の解説や、Subscription Upgrade Programの手続きなどの支援を行っています。技術者向けには、vCenter Cloud Gatewayに関する情報など、従来のvSphere導入との差分情報を提供しています。弊社でもvSphere+の検証環境を準備しています。
オンプレミスでもVMwareのクラウド技術を体験しよう
工藤 最後にvSphere+の良さとして付け加えたいのが、クラウドとの親和性の高さです。VMware Cloud Consoleでは数ヶ月に一回できることが増えていくので、トラブルやアップデートの手間なく、クラウドのような感覚で新機能を利用できます。このことは、ユーザーにとっても歓迎すべきことだと思います。
熊谷 クラウドライクになることで、オンプレミスでもタイミングを逃さずに最新機能を利用できるのは良いですね。またVMware Cloud Consoleを通じて、VMwareのクラウド技術をいち早く体験できることにも、価値があります。
工藤 Subscription Upgrade ProgramでvSphere+への乗り換えもしやすくなっているので、ぜひご検討ください。本日はありがとうございました。
vSphere+ へのアップグレードについてさらに詳しく
vSphere のライセンスや vSphere+ へのアップグレードについて詳しくは、各社のWebページでご確認ください。
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