基礎から学ぶ

ネットワーク仮想化とは?

2020/09/03

サーバだけが仮想化の対象ではありません。クラウド基盤を構成するあらゆるITリソースをソフトウェア定義によって制御し、運用を最適化するSDDC(Software-Defined Data Center)の重要なプラットフォームとして、ネットワーク仮想化が注目されています。

今後のクラウド基盤のあるべき姿

昨今、ITインフラの分野において「SD××(Software Defined~)」というキーワードをしばしば見聞きするようになりました。これまでハードウェア単位で行われていた設定や運用を、ソフトウェアによってより柔軟に制御できるようにするという考え方です。 企業にとって、システムを構成する多種多様なIT機器に習熟することは本来の目的ではありません。企業が求めているのは、専門的な知識やスキルは持たなくても、ビジネス環境の変化や組織再編などに対応したITサービスを迅速に展開できる仕組みです。 そうした中でVMwareは、今後のクラウド基盤のあるべき姿として、SDN(Software Defined Network)やSDS(Software Defined Storage)などの概念を包括した「SDDC(Software-Defined Data Center)」と呼ばれる次世代ITインフラのアーキテクチャを提唱しています。ベースにあるのは仮想化技術で、サーバやクライアント(デスクトップ)、ネットワーク、ストレージなどのITリソースを抽象化して統合管理すると共に、データセンター運用の最適化や自動化を支援する仕組みを提供します。

SDDCを具現化するネットワーク仮想化技術

言い方を変えると、SDDCを具現化する重要なプラットフォームの1つとして、ネットワーク仮想化の技術は位置づけられています。 現在の企業ネットワークは、スイッチやルーター、ファイアウォール、ロードバランサーなど、マルチベンダーからなる多様な機器で構成されており、業務や組織ごとに独立したセグメントの構築をはじめ、安定したサービス品質の確保、セキュリティ対策の強化といった要求に応えるため、非常に複雑なオペレーションが発生しています。 これはちょうど、サーバの仮想化が一般化する前までに行われていた物理サーバに対する運用オペレーションや課題に酷似しています。

そこでネットワーク仮想化の仕組みを導入することで、サーバ管理者側がVM(仮想マシン)やデータストアの管理を一元的に行えるのと同様、ネットワーク管理者は各種ネットワークサービスの一元的な管理を実現することが可能になります。デバイスごとに細分化・専門化されたネットワーク技術者への依存を最小限に抑え、システム運用にまつわる作業負荷やコストを低減することで、例えば新規ビジネスの立ち上げやグローバル進出、M&A(企業の買収・合併)などによる組織再編が行われた際にも、それにあわせてネットワーク構成を迅速に柔軟に変更することが可能となります。

エッジオーバーレイSDNを提供する VMware NSX-T Data Center

一口にネットワーク仮想化やSDNといっても市場には様々な様式がありますが、VMware が提供している「VMware NSX」はエッジオーバーレイと呼ばれるSDNの方式を採用しています。これはハイパーバイザー内の仮想スイッチ間を橋渡しする「オーバーレイトンネル」をソフトウェアで自動的に制定し、物理ネットワークに依存しない形でネットワーク機能全般を仮想化で実現するものです。仮想的なスイッチングやルーティングに加え、ファイアウォール、ロードバランサー、VPNなど様々なネットワークサービスをこのオーバーレイトンネル上で仮想的に提供し、コントローラから一極集中制御を行うことが可能となります。

エッジオーバーレイ方式のもとで物理ネットワークはシンプルなパケットの通り道になるため、既存のネットワークリソースも有効に活かすことが可能となります。加えて、サービスの追加、変更時に物理的なネットワーク機器の設定変更などの煩雑な手作業を低減する事ができます。

これによりネットワーク機器のイニシャルコストや運用コストの削減、そしてなにより、ネットワークサービスのデリバリースピードを劇的に向上させることが可能になります。

クラウド時代の新しいネットワーク Virtual Cloud Network

VMwareは近年、このネットワーク仮想化の技術を基としたマルチクラウド接続のための新しいネットワーキングモデルの確立に努めており、クラウド時代の新しいネットワークとして“Virtual Cloud Network”というコンセプトで市場をリード・啓蒙する活動に力を入れています。既存のハードウェアをベースとしたネットワークの運用に限界を感じている、もしくは今後のクラウド化を見据えた際に不安を感じている、などの課題があるようであれば、ぜひソフトウェアの力により柔軟な接続を提供する、新たな仮想ネットワークの世界をご検討されてみてはいかがでしょうか?


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この1冊でスッキリ解る! NSX の基礎の基礎 新卒 SE の視点で学ぶ、NSX の「はじめの一歩」

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