サーバ仮想化により得られたメリットをストレージやネットワークの領域まで拡張してデータセンター自体をソフトウェアにより仮想化するSDDC(Software-Defined Data Center)、これによりデータセンターを構成する要素そのものを物理的な制約から解き放つことが可能になりました。そして今、SDDC化により仮想化された複数のデータセンター、もしくはクラウドそのものを仮想化して繋げていこうとする流れが本格化しています。この異なる複数のクラウド間を仮想ネットワークにより接続するコンセプトが、VMwareの提唱する“Virtual Cloud Network”です。
Data Center から Center of Data へ
VMware のビジョンは、仮想化の力を最大限活用し、あらゆるデバイスで、あらゆるアプリケーションを、あらゆるクラウド上で動作させることによってデジタルトランスフォーメーションを推進することにあります。
このビジョンを実現するためには、クラウドの本格的な利用、エッジコンピューティングやIoTといった新しいテクノロジーへの適応と既存テクノロジーとの融合が何よりも重要になってきます。これまでデータやアプリケーションを保持するインフラとして中心的な役割だった”Data Center”から、「データが存在しているところはどこでもインフラの中心でありうる」という“Center of Data”という発想への転換と、これら特性の異なる複数のインフラ同士を柔軟に接続し、管理する手法が必要になってきます。
複数クラウドをセキュアに接続するためのネットワーク仮想化技術
VMwareはこのような世界観の実現のために、物理的な制約を受けないソフトウェアによる多様な仮想ネットワークテクノロジーを”Virtual Cloud Network“の名のもとに開発してまいりました。Virtual Cloud Network を利用することで、データセンターからクラウド、エッジまでを網羅する、シームレスでセキュアなソフトウェアベースのネットワーク レイヤーを実現できます。
以下にVirtual Cloud Networkの代表的なユースケースをご紹介いたします。
クラウドスケールネットワークの構築
オンプレミスのデータセンターから、複数のパブリッククラウドを含むマルチクラウド、仮想サーバだけではなく、コンテナ、ベアメタルサーバなど様々なインフラストラクチャにわたりアプリケーションを統一的に接続、保護します。Virtual Cloud Network が基盤としている VMware NSX™ は、ネットワークとセキュリティの仮想化プラットフォームとして、アプリケーションとデータの一貫した接続をクラウドの種類を問わず広範囲で実現します。
ビルトインされた本質的なセキュリティの実現
ハイパーバイザーに組み込まれた VMware Service-Defined Firewall により、ワークロードの振る舞いを詳細に可視化し、レイヤー 2~7 のステートフルなファイアウォール保護機能を活用することで、East-West ネットワーク トラフィックを確実に保護します。リスクの緩和、コンプライアンスの確保、コストの削減が可能になるだけでなく、すべてのワークロードに対するファイアウォールとIDS機能の運用モデルを大幅に簡素化することが可能です。
エンドツーエンドのトラフィック分析
Virtual Cloud Network の構成要素である、ハイパーバイザーに組み込まれた分散型分析エンジンの VMware NSX® Intelligence により、効率的なパケット検査、ワンクリックでの展開、セキュリティ ポリシーの統合管理を行うことができます。NSX Intelligence を vRealize® Network Insight™ と組み合わせることで、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの複数の環境にわたり最適化されたセキュアなネットワーク インフラストラクチャを構築できます。
ここまでご紹介してきた代表的なユースケースの他にも、お客様の各拠点からのクラウドへの接続、もしくはSaaSへのトラフィックを最適化するVMware SD-WAN™ by VeloCloud®や、マルチクラウド環境における一貫性のあるアプリケーションデリバリーを提供することが可能なVMware NSX® Advanced Load Balancer™など、Virtual Cloud Networkを構成するソリューション群は近年ますます拡充されてきています。
https://www.vmware.com/jp/solutions/virtual-cloud-network.html
本格的なハイブリッドクラウドの運用を提供
かつて物理サーバに対する運用性や経済性をハイパーバイザーにより置き換えてきたVMwareは、近年ストレージの仮想化とネットワークの仮想化を組み合わせたSoftware-Defined Data Centerを現実のものとしました。現在ではこれらの組み合わせを利用して、オンプレミスのデータセンターにとどまらずパブリッククラウドまで含めたハイブリッドクラウド化の実現に向けて取り組みを本格化しています。
Virtual Cloud Networkの世界をより分かりやすく説明しているShort Videoもありますので、こちらも併せて御覧下さい。
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