基礎から学ぶ

仮想環境における運用管理とは?

2020/08/03

サーバ仮想化には、ITリソースの有効活用によるコスト削減、ビジネスニーズへの迅速な対応、維持・管理の負担削減など数多くのメリットがあります。ただし、仮想マシンが増加するとともに物理リソースとの関係性が見えづらくなり、様々な問題や非効率を発生させます。そこで求められるのが、仮想環境に特化された運用管理手法の導入です。

物理環境と仮想環境での運用管理の違い

運用管理の目的は、ITシステムを安定的かつ効率的に稼働させることにあります。物理環境であっても仮想環境であっても、この本質が変わることはありません。

ただし、物理環境と仮想環境の運用管理では、それぞれ監視すべき対象が異なります。まずは、この違いをしっかり理解しておきましょう。

物理環境(一般的なサーバ)の運用管理

これまでの運用管理は、システムを構成する物理サーバのCPUやメモリなどのリソースの負荷(利用率)や障害発生を、直接監視することを基本としてきました。物理サーバとOSが1対1の関係で紐づけられるため、物理サーバのリソースを監視することで、OSやアプリケーションの稼働状況をほぼ把握することができたのです。

仮想環境(仮想マシン)の運用管理

物理環境と比べ、仮想環境の運用管理は大幅に複雑になります。1台の物理サーバ上で、複数の仮想マシン(VM)が稼働することになるからです。

各仮想マシンには、それぞれ専用のCPUやメモリ、ディスク、ネットワークなどのリソースが割り当てられており、その上で独立してOSやアプリケーションが稼働します。したがって、物理サーバのリソースを監視すると同時に、各仮想マシン単位でも稼働状況を監視する必要があります。

サーバ仮想環境の運用管理における課題と解決

一般に仮想環境は、ファイルサーバやテスト用サーバなどの限定的な導入から始まり、その後どんどんワークロードを拡大していきます。

ところが、主要なシステムの大半が仮想環境で運用されるようになってからも、物理環境で行っていた運用管理の手法やプロセスを、そのまま継承している企業が少なくありません。そこに様々な課題が顕在化してきます。

仮想マシンのパフォーマンスが低下する

物理サーバ全体としてのリソースの利用率には余裕があるにもかかわらず、一部の仮想マシンのパフォーマンスが低下してしまうことがあります。

このよくある原因が、複数の仮想マシン間で使用しているリソースの“競合”です。複数の仮想マシンが同時に多くのCPUパワーを必要とした場合、物理サーバが持っているCPUコアを奪い合い、割り当てられるまでの待ち時間が発生してしまうのです。

適度なバランスのとれたリソース管理が困難

1台の物理サーバ上で稼働させる仮想マシンの数を増やすほど、すなわち統合率を高めるほど、ハードウェア投資や設置スペース、消費電力などのコスト削減の効果は大きくなります。しかし、パフォーマンス低下に対する不安から、各仮想マシンには過剰なリソースが割り当てられがちです。

仮想環境の運用管理においては、サーバの統合率とリソース利用率、サービスレベルのバランスを上手くとることが鍵となりますが、ワークロードの状況は常に変化します。最適なリソース管理のためには、稼働状況の継続的な監視が必要となります。

仮想マシンに発生している問題の原因が特定できない

仮想マシンに発生している問題を切り分け、原因を特定するためには、割り当てられているリソースが、どの物理サーバの、どのリソースに紐づいているのかを追跡する必要があります。

しかし、各仮想マシンは常に固定的に運用されているとは限りません。必要に応じて立ち上げたり、不要になったら停止したり、物理サーバ間を移動させたり、動的に運用しているケースがほとんどです。

仮想環境の運用管理の基本的な考え方

仮想環境の運用管理における最大のポイントは、下記の3つの視点に沿ってシステム全体を“見える化”することにあります。

  1. 健全性:パフォーマンス分析から、現在進行中の問題を見える化
  2. リスク:リソース(キャパシティ)分析によって、近い将来に発生すると予測される問題を見える化
  3.  効率性:リソース有効活用の余地を見える化

これにより、仮想環境に問題が発生する前に先手を打って対処する、プロアクティブな運用管理を実現することができます。

仮想環境の運用管理自動化を支援するvRealize Operations

ヴイエムウェアでは、仮想環境における運用管理の自動化を実現するソリューションとして,「VMware vRealize® Operations」を提供しています。

vRealize Operationsとは

vRealize Operationsは、仮想環境に特化された運用管理ソリューションです。将来発生するキャパシティの需要予測や様々な分析・解析機能により、運用管理者が今まで苦労してきた問題分析、対処までをほとんど自動化し、仮想基盤の安定運用を実現します。

仮想環境の現在から将来まで“見える化”して監視

vRealize Operationsを利用することで現在の仮想環境全体が健全かどうか監視するだけでなく、必要に応じて実際に健全な状態に是正することができます。仮想環境で生じる対処が必要な問題がわかりやすく可視化されるため、モニターするのに最適なユーザーインターフェースとなっています。さらに現在の健全性に加え、キャパシティ予測によるリソース不足などの将来的な潜在リスクも見える化できるため、仮想環境全体を可視化して統合管理を行うことができます。

vRealize Operationsの活用メリット

  1. 継続的なパフォーマンス最適化
    ―ワークロードを分析し仮想マシンに割り当てるべき仮想リソースを自動的に学習、最適な値を提示します。そのため管理者は示された内容に応じてリソースの最適化機能を使用するだけで、無駄なリソースの割り当てやリソースの割り当て不足を無くすことができます。お客様のビジネスや運用上の要件に基づき、ワークロードを自動的かつ適切に配置し、アプリケーションの性能を能動的に担保できるため、安定したパフォーマンスの提供が可能となります。
  2. 効率的なキャパシティ管理、コスト管理
    ―vRealize Operationsでは現在の運用環境のみならず、将来的なCPU・メモリ・ストレージなどの需要予測も示してくれます。管理画面ではリソースが枯渇するまでの残り時間や、それに伴うリソースの需要予測がグラフで表示されるため、管理者はキャパシティ追加の必要性やタイミングを事前に把握することができます。またデータセンター単位やクラスタ単位で運用にどれくらいのコストがかかっているのかをvRealize Operationsの独自のアルゴリズムにより算出することも可能です。そのためシステム毎に運用コストを算出したい場合に便利です。
  3. 徹底的な問題解決
    ―仮想環境では仮想マシンの数が増えるに従い監視項目は増大していきます。vRealize Operationsでは仮想環境で発生した問題を検知、解決する際に必要な情報を提供します。
    問題が発生している箇所と関連情報、さらに解決策が紐づいて表示されるため、管理者が多くの項目を手動で確認する手間を省き迅速な問題解決を支援します。また、オンプレミス環境だけではなく、クラウド環境、アプリケーションまでを包括的に管理できるため、お客様のITインフラ全体を俯瞰して管理することが可能です。
  4. 安定的なコンプライアンス管理
    ―vRealize Operationsでは規制標準用の管理パックをインストールすることで仮想環境がコンプライアンスルールを順守しているか、監視や確認ができます。コンプライアンスルールに違反がある場合はその検知と分析を自動的に行い、解決策と合わせて管理者に通知を送ります。管理者はその通知に応じて問題解決をするため、リスクを減らし標準的な基準に則って仮想環境を運用することができます。

vRealize Operations Cloudとは

ヴィエムウェアではvRealize OperationsのSaaS製品としてvRealize Operations Cloudを提供しています。短い導入期間や迅速で柔軟なスケーリングを特徴とし、オンプレミス版と同じユーザーインタフェースでの利用が可能となります。運用状況に応じた規模の拡張が容易で料金体系も選択肢が充実しているため、スモールスタートを考えている方はぜひこちらの製品もご検討ください。


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