VMware vSphere は仮想化基盤のソフトウェアです。2022年にリリースされたVMware vSphere 8では新たな機能の追加に加え、サブスクリプション型のライセンスも発表しました。本ページでは最新のVMware vSphere 8のライセンスを解説します。
目次
VMware vSphere
VMware vSphereは1台の物理サーバ上で複数の仮想マシンを作成・運用するハイパーバイザーの「VMware ESXi」をコアとして、複数のホスト(物理サーバ)をまたいで仮想マシンを無停止で移動させるvMotionや仮想マシンを冗長化するHA、レプリケーションなどの機能を持った仮想化基盤のソフトウェアです。
社内に乱立していた物理サーバを仮想化して集約することで、ハードウェアの導入コストを削減するとともに、データセンターの設置コストや電気代、保守費用などのランニングコストを節約することが可能となります。
ライセンス体系
VMware vSphereのライセンスには、1ライセンス単位で提供する「エディション」と仮想化環境の構築に必要なツール一式を揃えたスイート製品の「キット」の2つに大きく分かれます。
エディション
VMware vSphere エディションライセンスは、1ライセンス単位で購入いただけます。「Standard」と「Enterprise Plus」の2つのエディションがあります。
「Standard」はサーバ仮想化を行うための基本的な機能を兼ね備えたライセンスです。仮想マシンを無停止で移動させるvMotionや複数ホスト(物理サーバ)間で仮想マシンを冗長化するHAなどの機能を利用できます。アプリケーションの展開にかかる時間を短縮し、ハードウェアのコスト削減を実現します。
上位の「Enterprise Plus」はVMware vSphereのすべての機能を利用できます。ホストマシンあたりの統合率を高めたり、仮想マシンのパフォーマンスを向上したり、管理性を高めることができます。
VMware vSphereエディションは、「サブスクリプション(期間型)」と「無期限(Perpetual)」の2つのライセンスモデルから購入方法を選択いただけます。
サブスクリプションライセンス
サブスクリプションライセンスはCore単位での提供となり、1CPUあたり最小16Coreからの購入となります。「VMware vCenter Standard」 のライセンスとサポートおよびサブスクリプション(SnS)が付属しています。契約期間は、12ヶ月(1年)、36ヶ月(3年)、60ヶ月(5年)から選択いただけます。お客様の環境に応じて選択できるようにクラウド接続型とクラウド非接続型の2つのライセンスを用意しています。
クラウド接続型のライセンス管理はインターネット上のCloud Console と通信してライセンス認証を行うため、オンプレ環境にvCenter Cloud Gateway のデプロイとインターネット接続が必須となります。クラウド非接続型のライセンス管理は、従来通りでライセンスキーを利用します。(Customer Connectにてライセンスキーを発行・管理)
無期限ライセンス
無期限ライセンスは、従来通りでCPU単位での提供となります。1CPUあたり32Coreまでカバーします。CPUのCore数が32を超える場合はCPUライセンスを追加で購入する必要があります。また、無期限ライセンスを購入の場合は、サポートおよびサブスクリプション(SnS)契約を別途購入する必要があります。ランセンスの管理は従来通りでライセンスキーを利用します。(Customer Connect にてライセンスキーを発行・管理)
VMware vSphere+
「VMware vSphere+」はクラウド接続型のサブスクリプションライセンスです。従来のVMware vSphere の機能に加え、ハイパースケーラーやVMwareパートナーのクラウド上で展開しているVMware Cloudで培ったクラウドのメリットをオンプレミスの仮想化環境にご提供します。具体的には、新しいユーザーポータル「VMware Cloud Console」よりさまざまな便利な機能を提供します。
オンプレミスで運用しているホストやソフトウェアはそのままに、オンプレミスのワークロードをクラウドから一元的に管理・運用することで管理の一元化や生産性の向上、イノベーションの促進を実現することができます。
利用条件
VMware vSphere+を利用するには、各サイトに設置したvCenter Cloud Gatewayを介してオンプレミスのvSphere環境とVMware Cloud Consoleをインターネット接続する必要があります。
接続要件の詳細は以下のサイトを参照してください。
VMware vSphere + は以下の記事でも詳しくご紹介しています。
キット
キットは、「Essentials kit」と「Acceleration kit」の2つがあります。
「Essentials kit」は、中小規模または初めて仮想化環境を導入する企業を主な対象としたもので、2CPUソケット以下の物理サーバ3台(計6 CPU)分の「VMware vSphere」のライセンスおよび管理製品の「VMware vCenter for Essentials」(管理対象ホスト3台まで)がセットになっています。また、上位ライセンスの「Essentials Plus Kit」も提供しており、こちらは、仮想マシンを無停止で移動させるvMotionや複数ホスト(物理サーバ)間で仮想マシンを冗長化するHAなどの機能も利用できます。
「Acceleration kit」は、仮想化環境を新しく構築するために必要なコンポーネントがセットになったバンドルライセンスです。「VMware vSphere」のエディションライセンス6 CPU分および管理製品の「VMware vCenter Standard」(管理対象ホスト無制限)が含まれます。
「VMware vSphere Standard Acceleration Kit」は、サーバ仮想化を行うための基本的な機能を兼ね備えた「vSphere Standard」が利用できます。仮想マシンを無停止で移動させるvMotionや複数ホスト(物理サーバ)間で仮想マシンを冗長化するHAなどの機能を利用できます。「VMware vSphere Enterprise Plus Acceleration Kit」は、vSphere の全ての機能が利用できます。
また、「VMware vSphere Standard Acceleration Kit」は、「VMware vSphere Standard」ライセンス 8CPU分および「VMware vCenter Foundation」(管理対象ホスト4台まで)がセットのライセンスも提供しています。
ご利用形態に特化したライセンス
お客様のご利用に応じたさまざまなライセンス形態をご提供しています。ライセンスの一部をご紹介いたします。
VMware HCI キット
VMware HCIキットはVMware vSphereとVMware vSANのライセンスをまとめてご提供するライセンスです。HCIを構築するために必要な機能を兼ね備えており、HCIキットを活用することによりリスクを最小限に抑えながらHCIの導入を実現します。
VMware vSphere Workload Security
VMware vSphere Enterprise Plus ライセンスとワークロードの保護するセキュリティソリューションVMware Carbon Black Cloud Workloadを組みあわせたライセンスです。VMware Carbon Black Cloud Workload は「脆弱性管理」や「次世代アンチウイルス」、「EDR」、「ワークロードの可視化」などを提供するクラウドサービスです。VMware vSphere のセキュリティ強化を検討のお客様におすすめのライセンスです。
VMware vSphere Remote Office Branch Office (ROBO)
vSphere ROBO ライセンスは、リモートオフィスや支社などの小規模環境が各地に点在しているお客様向けです。CPU単位ではなく25VM単位で購入いただくライセンスです。「Standard」「Advanced 」「Enterprise」の3種類があります。
VMware vSphere Desktop
vSphere DesktopはVDI環境向けに提供されるライセンスでvSphere Enterprise Plus の全ての機能を提供します。パワーオン状態のデスクトップ仮想マシンの合計数を基準としてライセンスが付与され、デスクトップ仮想マシン100台単位およびVMware Horizonのバンドルの一部としてご購入いただけます。
※本記事では以下の情報をもとにVMware vSphereのライセンスをご紹介しています。併せてご覧ください。
- エンタープライズワークロード対応プラットフォーム VMware vSphere
- VMware vSphere Product Line Comparison (英語)
- VMware vSphere & VMware vSphere+ Compute Virtualization Licensing, pricing, and packaging(英語)
よくあるご質問
- Essentials kitを購入した後、CPU単位ライセンスを追加購入して仮想環境を拡張することはできますか?
直接的な拡張はできません。Essentials kitをAcceleration kitにアップグレードした後、CPU単位ライセンスを追加購入する必要があります。
- キットを複数購入することは可能ですか?
Acceleration kitはできません。1拠点(サイト)につき1セットのみ購入することが可能です。Essentials kitは複数購入が可能です。
- すでに導入済みのライセンスからアップグレードはできますか?
SnS契約が有効なお客様は上位ライセンスへアップグレードできます。Essentials Kitをご利用のお客様はEssentials Plus KitやAcceleration Kitにアップグレード可能です。また、vSphereのエディションライセンスをご利用のお客様も上位のエディションにアップグレード可能です。
- VMware vSphereの無期限ライセンスでは、1CPU当たり1ライセンスが必要ですが、1ライセンス当たりのCoreの制限はありますか。
1ライセンスにおける1CPU当たりのCore数には最大32 Coreとする上限があります。そのため、1CPUに32を超えるCoreがある場合、CPUライセンスを追加で購入する必要があります。
例えば、1CPU 28 Coreの場合、28 Coreは1ライセンスでカバーできるため、1ライセンスが必要となります。1CPU 48 Coreの場合は、48 Coreは1ライセンスでカバーできないため、2ライセンスが必要となります。
また、ライセンスを新規購入する場合は、サポートおよびサブスクリプションサービス(SnS)も購入いただく必要があります。ライセンスと保守は1:1でご購入いただく必要があります。
- vSphere 6.xや7.xから最新バージョンへのバージョンアップはできますか?
無期限ライセンスの場合、ライセンス購入とは別にサポート&サブスクリプション (SnS) 契約があれば、アップグレードできます。
- 現在、VMware vSphereの無期限ライセンスを持っています。引き続き、SnSを更新することはできますか?
はい、更新できます。また、サブスクリプションライセンスへも移行可能です。お得なプログラムが用意されていますので詳細については、担当営業までご連絡ください。
- 物理サーバ 3台で各サーバに2CPU搭載の環境でvSphere Enterprise Plus のサブスクリプションライセンスを購入したいです。必要なライセンスはいくつでしょうか。
1CPUあたり、16Core以内の場合、合計96 Core分のライセンス購入が必要になります。
- サブスクリプション(クラウド接続型)のライセンス認証について、インターネット接続は初回だけで良いのか、もしくは継続的に必要でしょうか。
クラウド接続型を継続的に利用いただくためには、VMware Cloud Console (Cloud Service Platform)を介した継続的な管理が必要です。インターネット接続は初回に限らず、継続的に接続いただく必要があります。
- サブスクリプションライセンスで契約期間が過ぎた場合、既存のvSphere環境の挙動はどうなりますか?
ご契約いただいた期間を過ぎても、すぐにvCenter 、ESXi、仮想マシンに影響はありませんが、期間終了後は速やかに利用を停止することが契約条項に記載されています。継続して利用する場合は速やかに更新手続きをお願いします。vCenter やVMware Cloud Portal (Cloud Service Platform)上で期限をご確認いただけます。
- Core課金はハイパースレッディングのON / OFFにより変わりますか?
物理Core数を元に算定されますので、ハイパースレッディングのON/OFFの影響はございません。
参考)https://news.vmware.com/company/cpu-pricing-model-update-feb-2020 - vSphere+の無償評価版はありますか?
15日間のフリートライアルが利用可能です。詳しくは以下のドキュメントを参照ください。
Start vSphere+ Free Trial - vSphere+はどのような認証を取得していますか。
CSA CAIQ、ISO 2700I、ISO 27017、ISO27018、AICPA SOC 2です。*これらの認証は、VMware Cloud Trust Center のCompliance タブで一般に公開されています。
https://www.vmware.com/products/trust-center.html
*2023年9月現在の情報です。