VMware Site Recovery Manager 概要
SRMは、災害時のシステム復旧を自動化し、迅速なサイト切り替えを実現するVMwareのソリューションである。リカバリ手順をポリシー化し、ボタン1つでポリシーに基づいて自動的にリカバリサイトに切り替えることが可能だ。また、テスト機能も提供され、本番サイトに影響を与えることなく事前にリカバリのテストができる。保護設定の単位は、データストア、ストレージ単位だけでなく、VMware vSphere® Replication™と連動させることによって仮想マシン単位で保護することができる。
SRMの利用目的と主な特徴は以下の通り。
利用目的
- vSphere基盤上の仮想マシンの、災害時における災対サイトでの復旧プロセスの自動化
- 災害時を想定した復旧訓練
- サイト間での計画的なシステムの移行
特徴
- ストレージアレイ、もしくはESXiサーバでのレプリケーションと連携
- 復旧手順を自動化できる
- 被災時の復旧を1オペレーションで実現
- 本番環境に影響を与えないリハーサル機能
- vSphere Clientから管理可能
SRMは、災対サイトにおけるシステム復旧の手順を自動化し、オペレーションを簡素化することで短時間での復旧を実現するソリューションである。システム規模にも依存するが、数十分~数時間程度で復旧した実績を持っている。アレイベースのレプリケーションとサーバベースのレプリケーションでは実現可能な機能の違いがある。
ポイントは以下の2点である。
- RPOはアレイベースの場合リアルタイムも可能、サーバベースの最短RPOは15分(但し、vSANを利用した場合においては、5分まで短縮することが可能)
- ストレージアレイを利用した場合、フェイルバックの自動化が可能
保護対象のシステムの要件を満たす手法を選択する事が可能となっている。SRMの導入にあたっては、以下の前提条件を満たす必要がある。
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バージョンによる注意点
SRM、VMware vCenter® 、vSphere Replicationは、両サイトで同じバージョンにする
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コンポーネントの互換性による注意点
導入に当たっては、VMwareのサイトからSRMとvCenterの互換性、vCenterとvSphere Replicationの互換性、ESXiとvCenterの互換性を確認する
図1 アレイベースのデータレプリケーションを利用したSRM実行環境
サーバベースのレプリケーションを利用する場合
- 両サイトにvCenter Serverで管理されたvSphere基盤がそれぞれ存在する
- レプリケーションに必要なサーバコンポーネントがデプロイ可能である
以下に、SRMにおけるサーバベースのレプリケーションを利用した際の全体像を示す。
図2 サーバベースのデータレプリケーションを利用したSRM実行環境
サーバベースを実行する際には、アレイベースよりも必要なサーバが多くなるが、これらはOVFファイル形式で提供され、vSphere Clientの管理画面から展開が可能となっている。各コンポーネントの名称と役割は以下の通り。
- vRMS(vSphere Replication Management Server):保護のフレームワークを作成
- vRS(vSphere Replication Server):災対サイトにてレプリケーションされたデータを受け取り、反映させる
- vRA(vSphere Replication Agent):各ESXiサーバで、データの変更差分を送るためのエージェント
また、ストレージアレイのレプリケーションが不要となるため全体のコストとしては抑えられる。そのため、従来よりも災害対策の実現にあたっての障壁は低くなるだろう。
アレイベースとサーバベースレプリケーションの併用の場合
アレイベースレプリケーションで構成する仮想マシンにはアレイベースの保護グループを作成し、サーバベースのレプリケーションで構成する仮想マシンには サーバベースの保護グループを作成する。保護グループにレプリケーションタイプを混在させることはできない。アレイベースの保護グループとサーバベースの保護グループを同じリカバリプランに混在させることができる。
図3 アレイベースとサーバベースのデータレプリケーションを併用したSRM実行環境