課題を解決

Kubernetes の不足を補いマルチクラウド環境の統合運用管理を可能にする Tanzu for Kubernetes Operations とは(2/3)

2022/09/30

Tanzu for Kubernetes Operationsが実現する統合運用管理

これらの課題を解決するためにVMwareが提供するソリューションが、VMware Tanzu for Kubernetes Operationsです。Tanzu for Kubernetes Operationsは、プラットフォーム運用に必要な要素を包括的に提供することで、クラウド間の環境差異を吸収するとともに、Kubernetes上に構築した非機能要件サービスを抽象化します。その結果、マルチクラウド環境とKubernetesクラスタを標準化し、運用者による一元的な管理を可能にします。

Tanzu for Kubernetes Operationsは、いくつかのコンポーネントから構成されています。まずKubernetesの実行環境として、複数のクラウドをまたがって提供されているのが、Tanzu Kubernetes Gridです。Tanzu Kubernetes Gridは、VMwareベースのクラウドやオンプレミス環境に加え、パブリッククラウドとしてAWSとAzureをサポートしています。これらの分散して展開されたKuberenetesの実行基盤を管理する仕組みがTanzu Mission Controlです。Tanzu Mission Controlから、各種環境のライフサイクル管理、認証、セキュリティ、サービスの展開、データ保護といった管理を行うことができます。Tanzu Observabilityは、インフラからコンテナ、アプリケーションのレイヤーに至るまで、マルチクラウド/マルチクラスタ環境全体を包括的に可視化するコンポーネントです。最後にTanzu Service Meshは、複数のクラウドやKubernetesクラスタに分散したアプリケーションの間で、セキュアな通信を提供します。

Kubernetes環境のライフサイクルに沿った包括的な支援

Tanzu for Kubernetes Operationsは、Kubernetes環境のフェーズに応じて、必要となるツールやガイドラインなどの包括的なアセットを提供しています。アーキテクチャ設計から構築、運用まで、マルチクラウド/クラスタ環境の包括的な支援を実現します。

(1) Day0 アーキテクチャの設計

設計フェーズでは、クラウドに対応した最適なアーキテクチャとして、vSphere環境、VMware Cloud、AWS、Azureに対応したリファレンスデザインを提供しています。これらを活用することで、マルチクラウド/マルチクラスタの環境のアーキテクチャを標準化することが可能になります。

(2) Day1 構築とポリシー適用の自動化

構築フェーズでは、リファレンスデザインに基づく構成を自動化する仕組みとして、Service Installer for VMware Tanzuが提供されています。Service InstallerはvSphere環境とVMware Cloudに対応しており、構成の自動化に加え、クラスタの払い出しとサービス展開、管理系のソリューションとの連携まで自動化することができます。

(3) Day2 ライフサイクル管理と非機能要件への対応

運用フェーズでは、ライフサイクルの管理と非機能要件への対応をマルチクラウド環境で実現することが想定されます。そこで、Tanzu Kubernetes GridやTanzu Mission Controlなどを組み合わせることで、マルチクラウド環境の統合運用管理を実現することができます。

Tanzu for Kubernetes Operationsの構成要素

ここからは、Tanzu for Kubernetes Operationsを構成するソリューションについて、詳しく見ていきましょう。

Tanzu Kubernetes Gridによるマルチクラスタ統合管理

Kubernetesの実行環境を担うのが、Tanzu Kubernetes Gridです。管理クラスタを介して、複数のKubernetesワークロードクラスタに対して、クラスタの作成やパッチ適用、スケールアウトといったライフサイクル管理を一元的に実施することができます。また、このクラスタ上でサービスとして動かす、非機能要件を担う各種OSSもパッケージとして提供されており、パッケージ管理ツールを用いて、これらのサービスの展開・管理を行うことができます。

Tanzu Mission Controlによるマルチクラウド統合管理

マルチクラウドでKubernetes環境の管理を一元化するツールが、Tanzu Mission Controlです。Tanzu Mission ControlはSaaSとして提供され、複数のクラウドをまたがった複数のKubernetesクラスタを、Mission Controlの管理画面から集中管理することができます。具体的には、クラスタのライフサイクル管理、アクセス管理、セキュリティポリシーの適用、データ保護、そのほか非機能要件の実現に必要なサービスの展開と管理などが含まれます。Tanzu Mission Controlは、Tanzu Kubernetes Gridだけでなく、Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service)、Microsoft AKS(Azure Kubernetes Service)、Red Hat OpenShiftなど、各種クラウド上に展開されたKubernetesの環境をも管理下に置くことができます。

Tanzu Observabilityによる問題発見と対処

複雑なマルチクラウド/マルチクラスタ環境を管理するには、アプリケーションからインフラまで「今何が起こっているか」常にデータを観測し、問題が起きた際は運用部門と開発部門が素早く状況を共有し、対処する必要があります。こうした「可観測性 (オブザーバビリティ)」を実現するためのツールがTanzu Observabilityです。Kubernetesクラスタの状況や、その上で動くアプリケーションの状況など、様々なメトリックを収集・分析し、問題を特定します。運用部門と開発部門が同じダッシュボードを共有することで、両者の連携を促し、問題の改善を早めたり、サービスの品質を高めていくことが可能になります。

マイクロサービスを支えるTanzu Service Mesh

Kubernetesクラスタをまたがって展開されるアプリケーションを支えるのが、Tanzu Service Meshです。マイクロサービス化が進むアプリケーションにおいて、各サービス間を暗号化されたセキュアな通信で繋ぎます。また通信を可視化して、内部のトラフィックを調査することも可能です。Tanzu Service Meshを活用することで、例えばオンプレミス環境とAWS環境にまたがってアプリケーションを構築することが可能になります。

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