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vSphere Replication で実現! 仮想マシンの可用性向上の一歩

2020/03/25

VMware vSphere® Replication は、VMware vSphere®(VMware vSphere® Essentials Plus Kit 以上)導入されたユーザーに提供される機能です。仮想マシンの可用性を向上させる製品としてvSphere Replicationがあることを多くのユーザーがご存知かと思います。

vSphere Replicationを構成することによって、保護対象の仮想マシンをサイト内だけではなく、サイト間にまたがって仮想マシンの複製を作成することができ、保護仮想マシンが障害の際に、複製された仮想マシンでサービスを継続することが可能になります。

vSphere Replicationの利用を検討されているユーザーから、「これはできますか?」、「この場合はどうなのですか?」などvSphere Replicationに関するご質問をいただきますので、よくある疑問をQ&A形式でお知らせします。

INDEX

Q. vSphere Replicationとはどんな機能ですか?

A. vSphere Replicationは、vSphereに組み込まれたレプリケーション(複製)の仕組みで、仮想マシンにサイトレベルの障害に対する可用性を提供します。詳細はこちらのブログをご覧ください。

Q. 違うvCenter ServerとvSphere Replicationのバージョン間での仮想マシンの複製はできますか?

A. vCenter Serverは、6.X.の範囲であれば(例:6.5と6.7)、同じバージョンで構成します。
vCenter Serverと vSphere Replicationは相互運用性マトリクスで動作可能か確認します。

vCenter ServerとvSphere Replicationの製品相互運用性

上図は、VMware Product Interoperability MatricesでvCenter ServerとvSphere Replicationの相互運用性を調べた結果となります。製品相互運用性マトリクスは以下から確認できます。

vSphere Replication同士の製品相互運用性マトリクス上においては、一見動作可能なように見える場合がありますが、vSphere Replicationのバージョンにより同じバージョンにする必要の有無があるため、基本的に同じバージョンにすることを推奨します。厳密に相互運用の可否を確認したいユーザーは、各バージョンのドキュメントを確認します。上記の内容について例として簡単に表した図が下図になります。

厳密に相互運用の可否を確認したいユーザーは、各バージョンのドキュメントを確認します。上記の内容について簡単に表したものが下図になります。単一vCenter Serverの構成は対象としておりません。

Q.単一のvCenter Serverで複数のサイトを跨いだ仮想マシンの複製はできますか?

A. はい、可能ですがベストプラクティスではありません。サイト障害などでvCenter Serverが停止した場合、vCenter Serverが存在しないサイトでは、当然のことではありますが、vCenter Serverが停止している間、コマンドもしくはvSphere ClientでESXiの設定・管理を行う必要があります。また、ターゲット仮想マシンから保護仮想マシンをvSphere Replicationでリカバリすることができませんのでお勧めできません。
以下は単一vCenter Server で構成するにあたり、VMware Docsで参考となる情報です。

単一vCenter Server構成(サイトAからサイトBに複製可能)

単一vCenter Server構成(ターゲット仮想マシンから保護仮想マシンを復元不可)

以下の図のようにベストプラクティスでは、サイトごとにvCenter Serverを配置しそれぞれのvCenter Server間をリンクさせることで、サイト全体を管理できるようにし、各サイトにvSphere Replicationを配置することで、サイト間での相互のバックアップリカバリが可能になります。

サイトごとにvCenter ServerとvSphere Replicationを構成(ベストプラクティス)

Q. vSphere Replicationで、vCenter Server Applianceの複製はサポートされていますか?

A. いいえ、vSphere Replicationで、vCenter Server Applianceの複製はサポートされていません。

Q. ターゲット仮想マシンは、保護仮想マシンの何分前のものですか?RPO(Recovery Point Objective)とは何ですか?複製はどのように行われていますか?

A. vSphere Replication 6.5.xおよび8.xでは、ターゲットサイトとソースサイトがVMFS 6.0、VMFS 5.x、NFS 4.1、NFS 3、VVOL、およびvSAN 6.Xを使用している場合、5分間のリカバリポイント目標(RPO)を使用できます(それ以外は15分)。この場合、複製された仮想マシンは、アクティブな保護仮想マシンの5分間のデータが失われた状態のものとなります。

RPO値はレプリケーションのスケジュールに影響しますが、vSphere Replicationは厳密なレプリケーションスケジュールを順守しません。たとえば、RPOを15分に設定すると、最大15分間データの損失を許容できるようにコントロールします。これは、データが15分ごとに複製されるという意味ではありません。

x分のRPOを設定し、RPOに違反しない場合、最新の利用可能なレプリケーションインスタンスはx分より古い状態を決して反映できません。レプリケーションインスタンスは、同期開始時の保護仮想マシンの状態を反映します。

以下の図で示すように、レプリケーションの構成中に、RPOを15分に設定すると仮定します。同期が12:00に開始され、ターゲットサイトへの転送に5分かかる場合、複製(スナップショット)は12:05にターゲットサイトで使用可能になりますが、12:00の仮想マシンの状態を反映します。次の同期は12:10までに開始できます。この複製したスナップショット(以下インスタンス)は、12:00に開始された最初のインスタンスが期限切れになる12:15に利用可能になります。

RPOを15分に設定し、レプリケーションがインスタンスを転送するのに7.5分かかる場合、vSphere Replicationは常に保護仮想マシンの複製を転送します。インスタンスの転送に7.5分以上かかる場合、保護仮想マシンの複製において定期的なRPO違反が発生します。以下の図に示すように、たとえば、複製が12:00に開始され、インスタンスの転送に10分かかる場合、複製は12:10に終了します。別の複製をすぐに開始できますが、12:20に終了します。12:15-12:20の時間間隔で、使用可能な最新のインスタンスが12:00に開始され、古すぎるため、RPO違反が発生します。

※vSphere Replicationは、帯域幅の使用を最適化するためにレプリケーションをオーバーラップすることでこれらの制約を満たそうとし、一部の仮想マシンのレプリケーションを予想よりも早く開始する場合があります。

ここでの最後に、RPOは、ターゲットサイトと保護サイトで5分から24時間の設定範囲があることをお伝えしておきます。

Q.vSphere Replicationでサイト間の仮想マシンを複製するにあたり、データは暗号化されますか?

A.vSphere6.7 update1以降から仮想マシンを暗号化することができます。それ以前のバージョンの場合は、VPNなどのネットワークによる暗号化ソリューションをご利用されることを強く推奨します。

Q. vSphere Replicationは仮想マシン複製の際に転送帯域を調整しますか?

A. vSphere Replicationは、仮想マシン複製の際に転送帯域調整や管理は行いません。複数の仮想マシンが単一のホストからレプリケートされる場合、vSphere Replicationは、可能な限り並列更新を回避するために転送をスケジュールすることにより、レプリケーショントラフィックのバランスをとろうとします。

参考として必要なネットワーク帯域を確認する方法としてvSphere Replication Calculatorがあります。これにより、VMの数、サイズ、変化率、RPO、帯域幅などの複数の変数を入力することで必要なネットワーク帯域を調べることができます。

※本記事掲載時点ではvSphere6.5まで選択可能となっておりますがvSphere6.7以降のユーザーでも参考となる情報です。

保護仮想マシンからターゲット仮想マシン間のネットワーク帯域幅を考慮する点は、変更されたデータの量、データ変更の頻度、各複製されたRPO構成などです。これらがどのような帯域に影響するかvSphere Replication Calculatorで調べることができます。

また、伝送時間を計算することにより、最適なRPOを設定することができます。たとえば、100GBのデータ転送では、1.5Mbpsネットワークで複製するのに転送効率約80%で約200時間、10Mbpsネットワークで30時間、100Mbpsネットワークで3時間必要となります。

Q.事前に仮想マシンの複製したものをターゲットとして使用できますか?

A.初回完全同期による保護仮想マシンのデータ量が大量で、ネットワークによる負荷や、転送時間を懸念されている場合によくある質問となりますが、事前に保護サイトの仮想マシンのデータをターゲットに配置することが可能です。

vSphere Replication以外の方法を使用して、保護仮想マシンの場所からターゲットの場所に仮想ディスクをコピーすることを、通常「シード」と呼びます。vSphere Replicationは、ターゲットの場所にある仮想ディスクの「シード」コピーを利用して、vSphere Replicationによって最初に複製する必要があるデータの量を制限できます。ターゲットのデータストアに対して仮想マシンコピーは、様々な方法で行うことができます。

以下は、仮想マシンのコピーに関してVMware Knowledge Base(KB)で参考になる情報です。

vSphere Replicationは、「シード」として使用できる仮想ディスクファイルを識別し、ファイルをレプリケーションに使用する必要があるかどうかを判断します。 この際に 仮想マシンまたは特定のディスクのターゲット データストアを選択すると、vSphere Replication は、ターゲット データストア内でソース サイトと同じファイル名のディスクを検索します。すでに同じ名前のファイルがある場合は、ウィザードに警告が表示されシードを構成します。シードを構成しない場合は、複製ファイルは一意の名前を持つ新しいディレクトリに配置されます。

Q.何世代まで仮想マシンの複製履歴を復元できますか?

A.vSphere Replicationでは、仮想マシンごとに最大24世代までの複製履歴(スナップショット)を保持することができます。また、保持した各世代の仮想マシンを復元することができます。最大24個までの複製履歴を保持可能ですが、1 日(24時間)に 6 個の複製履歴が保持されるように設定した場合、RPO 期間は 4 時間を超えることはできません。また、1 日に 6 個の複製履歴を保持するように vSphere Replicationを構成した場合、複製履歴の保持の最大日数は 4 日間となります。以下の参考図で確認下さい。

保持した保護仮想マシンの状態は、vSphere Replicationの機能により最大24世代前までの状態に復元可能です。

Q. vSphere Replication に関する既知のトラブルシュートの情報はありますか?

A. トラブルが生じた場合は、VMware製品サポートにお問い合わせください。vSphere Replicationで問題が生じた場合に、まずは、こちらの情報から該当するトラブルについて対処方法があるか事前に確認できます。

vSphere Replication によくある問題の解決方法は、以下のVMware Docsを確認下さい。

最後にvSphere Replicationは、既存のシステムの信頼性を高めるのに有効な機能です。更にシステムの信頼性やビジネスの継続性を検討されているユーザーには、サイトの障害で、事前テストを実施し、バックアップやリカバリ作業を自動化することができる VMware Site Recovery Manager(SRM)がありますので、検討いただけると幸いです。

SRMの概要は「わかるSRM」でご紹介しています。

vSphere 基盤のビジネス継続性の強化についてはこちらでご紹介しています。

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