VMware vRealize Operationsで検証環境の課題を分析
VMware vSANベースのHCIの導入でリソース・保守の効率化を実現
パッケージ・インテグレーターの株式会社アシストは、社内の検証環境の基盤としてVMware vSphereによる仮想化基盤を構築しましたが、仮想マシンの乱立によるリソース圧迫やコスト増大が課題になりました。そこでVMware vRealize Operationsの導入により基盤の問題点を分析、最適な運用ルールを策定することに成功し、リソース効率改善と効率的な管理を達成しました。またこれらの知見を元にVMware vSANベースのHCIであるDell VxRailを新基盤に採用、さらなる効率的なリソース利用と、運用工数の大幅削減を実現しました。
導入前の課題
- 仮想化基盤のリソース圧迫により、検証作業や顧客向けデモに支障が出ていた
- 仮想化基盤の利用における明確なルールがなく、仮想マシン乱立の原因となっていた
- 需要に合わせて際限なくリソースを継ぎ足すことになり、コストや運用工数の増大を招いた
導入効果
- vRealize Operationsで仮想化基盤を可視化し、問題点の発見と利用効率の改善に成功
- vRealize Operationsの分析結果を元に運用ルールを定め、仮想マシンやスナップショットの乱立を防止
- VMware vSANベースのHCIであるDell VxRailの導入により、さらなる効率的なリソース利用と、運用工数の大幅削減を実現
「vRealize OperationsはCPU・メモリ使用率といったリソース状況だけではなく、I/Oやスナップショット数、スナップショット作成からの経過日数等など、様々な角度から情報を収集でき、ベストプラクティスに沿った運用設定に役立ちました」
プロジェクトメンバー
社内での実践を通して顧客に貢献するIT
コンピュータ用パッケージ・ソフトウェアの販売、技術サポートなどを手掛けるアシストは、「超サポ愉快カンパニー」というビジョンを掲げ、ソフトウェアを提供するだけではなく、顧客と課題を共有し、ソフトウェアで課題を解決する「パッケージ・インテグレーター」として、ユーザー企業に貢献しています。同社は社内ITを、技術者が新しい技術を社内で実践する学びの場として、また現場や顧客に向けた新しいサービスを企画・提案する場として位置づけています。同社 経営企画本部 ITサービス企画部 課長 杉山 勝彦氏は「コストセンターとしての情報システム部門から、企画ができる組織への転換を目指しています。また営業同行やセミナーを通して、社内で実践した知見をお客様に提供することでビジネスに貢献しています」と話します。
社内での実践を支える検証環境は、元々各事業部がそれぞれ構築していました。しかし環境の差異が激しく、保守先が異なるなどの管理の負担や、各環境で実施できる検証作業に制限があるなどの問題が生じていました。そこで仮想化基盤に全社集約し、ITサービス企画部が検証環境を提供することになりました。仮想化基盤には、迅速なホスト集約が可能で、過去の様々な仮想化マシンもインポート可能なVMware vSphereが採用されました。仮想化基盤による検証環境は2014年から稼働を開始し、2016年には基盤を増強するなど、積極的に活用されました。
仮想化基盤の課題をvRealize Operationsで改善
しかし仮想マシンの増加により、2018年頃から仮想化基盤に様々な問題が生じてきました。仮想マシンの大幅な増加は、リソース圧迫によりパフォーマンスの低下を招き、検証作業や顧客向けデモにも支障が出始めました。さらに需要に合わせてリソースを継ぎ足していった結果、基盤のコストや運用工数が右肩上がりに上昇していました。同社 経営企画本部 ITサービス企画部 高橋 成明氏は「当時は仮想化基盤を利用する上での明確なルールがなく、利用者が必要に応じて自由に仮想マシンを作成することができました。仮想マシンが多すぎることが原因なのは明白でしたが、どの箇所から改善するべきか特定するには、まず調査が必要でした」と当時を振り返ります。そこで同社はVMwareの協力の下、仮想化基盤の可視化に着手しました。そして、各リソース細部の情報収集や長期的な分析を行うために、2019年3月に同社が導入したのが、VMware vRealize Operationsです。
調査の結果として、CPU利用率には若干余裕があるものの、メモリ使用率がほぼ100%に達し、ディスクのIOPSも非常に高くなっていることが判明しました。こうした調査結果を利用者とも共有しながら、IOPSに悪影響をもたらす不要なスナップショットや仮想マシンを削除するとともに、事業部側にも窓口を設置し、VMwareのベストプラクティスや調査結果を反映した運用ルールの整備が進められました。2019年6月にはベストプラクティスに沿った運用が開始され、スナップショット数は以前の3%ほどに抑えられるなど、リソースの最適化と基盤の健全性を確保することができました。
同社 経営企画本部 ITサービス企画部 主任 和気 博良氏は、導入のメリットについて「 vRealize OperationsはCPU・メモリ使用率といったリソース状況だけではなく、I/Oやスナップショット数、スナップショット作成からの経過日数等など、様々な角度から情報を収集でき、ベストプラクティスに沿った運用設計・ルール策定に役立ちました」と話します。加えて同社は、vRealize Operationsの充実したレポート機能も高く評価しています。「vRealize Operationsを活用して、説明会などを通して現状の問題点を利用者側に分かりやすく提示することができ、利用者の協力を得ながら対策を進めることができました」(高橋氏)
新基盤にHCIを導入し 運用をさらに効率化
ITサービス企画部の次の目標は、さらなる運用の効率化を図ることで、ビジネスに貢献する企画創出に注力することでした。そこで、vRealize Operationsによる分析や、その後の運用における知見を踏まえて、2019年12月頃から新基盤の検討が始まりました。
その結果、従来の3Tier構成に替わり同社が採用したのが、VMware vSANベースのHCIであるDell VxRailです。同社 経営企画本部 ITサービス企画部 伊良皆 亮氏は「さらなる効率化のためには、VMwareと親和性の高いHCIの導入が欠かせません。その点Dell VxRailは、VMwareと統合されているHCIなので、運用工数の大幅削減が期待できました。また、VMware vSANによるリソース利用の効率化や、デル・テクノロジーズの手厚いサポートも決め手となりました」と話します。
HCIによる新基盤への移行は、2020年7月から8月にかけて行われました。約600台もの仮想マシンを移行するため、同社はvSphere PowerCLIによる自動化ツールを作成しました。高橋氏は、移行作業について「業務への影響を防ぐため、作業時間に制限があり、自動化ツールで時間をスケジューリングしながら移行しました。台数が多いので、自動化なしでは厳しい作業でしたが、1カ月程度の期間で、約600台の仮想マシンの移行をほとんど問題なく終えることができました」と振り返ります。
新基盤は2020年9月から、旧仮想化基盤と並行して稼働し、製品や新技術の検証環境を支えています。4ノード・オールフラッシュ構成のハードウェア上で、900台程度の仮想マシンが稼働し、600〜700名の事業部の技術者が利用しています。利用者視点のメリットとして、安定した基盤の下で、動作が重いなどのクレームがなくなるとともに、サーバー調達の時間を大幅に短縮し、顧客への提案活動やサポート対応に貢献していることが挙げられます。加えて高橋氏は、管理者視点でのメリットとして「以前の3Tier構成では検証など含めるとバージョンアップ作業に3ヶ月ほど掛かりましたが、Dell VxRailでは、ハードウェアの保守作業の一環として、バージョンアップ作業を代行することが可能です。デル・テクノロジーズへサポート依頼を行った後、問い合わせから 1 週間ほどの期間でバージョンアップ作業が完了するので、運用負担が大幅に減りました。またDell VxRailはハードウェアと仮想化基盤の管理画面も統合されているので、一つの画面で両者の確認ができて便利です」と、運用工数の削減についても高く評価しています。
これらの成果を踏まえ、同社はIT基盤のさらなる変革を推し進めるとともに、ビジネスとITの連携をさらに強化していく方針です。杉山氏は「今後も、運用をなるべく少なくして、その分IT部門からの企画の発信を増やし、ビジネスに貢献していきたいと考えています。インフラ面では、旧仮想化基盤や業務環境もDell VxRailベースに入れ替えるとともに、働き方改革やゼロトラストを意識して、クラウド活用も推進していきます。将来的にはVMware Cloudの利用も視野に入れています」と今後の展望について語り、スピード感のある施策を実行していく考えです。
プロジェクトメンバーのご紹介
株式会社アシスト
経営企画本部
ITサービス企画部 課長
杉山 勝彦 氏
株式会社アシスト
経営企画本部
ITサービス企画部 主任
和気 博良 氏
株式会社アシスト
経営企画本部
ITサービス企画部
伊良皆 亮 氏
株式会社アシスト
経営企画本部
ITサービス企画部
高橋 成明 氏
お客様情報
お客様名 | 株式会社アシスト |
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WEBサイト | https://www.ashisuto.co.jp/ |
カスタマープロフィール | 株式会社アシストは、ソフトウェアを提供するだけではなく、そのソフトウェアを使いこなす上で必要なすべてのサービスを統合し、お客様の情報活用をトータルにサポートするパッケージ・インテグレーターです。「アシスト品質」の商品やサービスの提供を通じて、人々や社会に貢献することを使命としています。 |
導入製品 |
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※本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記載内容は2021年12月現在のものです。