導入事例

【Azure VMware Solution 導入事例】 ヒューマンリソシア株式会社 様

2023/02/22

オンプレミスで運用してきた基幹システムを
Azure VMware Solutionへ移行し、
効率的かつ安定的な運用を実現

派遣・転職・人材紹介まで総合人材サービスを提供するヒューマンリソシア株式会社(以下、ヒューマンリソシア)は、オンプレミスのvSphere環境で運用してきた基幹システムのITインフラが保守終了に伴う更改時期を迎えるのを機に、今後5年以上にわたりシステムを安定稼働できる環境を求めてクラウド移行を決断しました。そこで選定したのがVMware製品ベースのクラウドであるAzure VMware Solutionです。導入パートナーとなったユニアデックス株式会社(以下、ユニアデックス)と共にVMware HCXを活用することで、実質約1ヶ月という短期間で移行作業を完了しました。

導入前の課題

  • オンプレミスのvSphere環境でディスクなどのリソースが不足
  • データセンター内のネットワーク接続が複雑で問題解決が困難
  • VMware vSphere 環境を運用する人材の不足

導入効果

  • Azure VMware Solutionならではの潤沢かつ柔軟なリソースを確保
  • VMware HCXなどを利用したシンプルでスピーディな移行を実施
  • VMware NSXを組み合わせたシンプルなネットワーク運用を実現

「OVFベースのファイル転送、バックアップツール経由、そしてVMware HCXの活用といった3パターンの方法を駆使した結果、当初は半年以上かかると見込まれていたAzure VMware Solutionへの移行を、実質約1ヶ月の短期間で完了できました」

プロジェクトメンバー

プロジェクトメンバー

オンプレミスのITインフラで顕在化した運用面の課題

設立から30年以上にわたり人材サービスを提供してきたヒューマンリソシア。特に人材派遣に定評があり、一般職から高い専門性が求められるスペシャリストまで幅広いニーズに対応しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)実現に向けて高度なIT活用を求める企業が増える中、AI、ビッグデータ分析、画像解析、IoTなど、海外のハイスキルなITエンジニアを派遣する「Global IT Talent(GIT)サービス」も提供し、ビジネスを拡大しています。

ヒューマンリソシアの成長の原動力となっているこの人材派遣サービスをITの側面から支えてきたのが、2017年にオンプレミス(国内データセンター)に導入したvSphere環境上に構築された基幹システムです。

ただ、運用開始から年月を重ねる中で、このITインフラでもさまざまな課題が顕在化してきました。ヒューマンリソシア 事業戦略推進本部 DX推進室 マネージャーの板倉 正氏は、このように話します。

「2019年頃からディスクの容量不足が問題になりはじめ、その後も新しくリリースしたアプリケーションに対して必要なCPUを割り当てられなくなるなど、ホストのリソース不足が深刻化していました。またデータセンター内の保守体制が複雑なため、トラブル発生時に障害解決まで時間がかかる傾向があり、完全復旧までに2週間程度を要したこともありました。もう1つの問題はvSphereをハードウェアレベルで理解している人材の不足です。オンプレミス環境での更改を行う場合、ハードウェア面での設計ノウハウがないため、どうしても外部のベンダーに依存せざるを得ない状況でした。」

オンプレミスと同じvSphere環境が動くクラウドへ

前述した課題に加え、オンプレミスのvSphere環境が2022年の保守終了に伴い更改時期を迎えることもあり、ヒューマンリソシアは基幹システムのクラウド移行を決断しました。

「仮にオンプレミス上でリプレースを行った場合、保守費用も含めるとコストが現在の1.3~1.5倍に増加することが明らかになりました。加えて世界的な半導体不足などの問題から、ハードウェア調達に相当な期間がかかることもネックだったこともあり、今回の移行先にクラウドを選択しました。また、運用コストを削減し、今後5年間は安定的にサービス提供できる環境を作りたいという思いもありました」と板倉氏は話します。

もっともクラウドであれば、どこでもよいわけではありません。オンプレミスの vSphere環境には古い世代のOSも残っており、ネイティブクラウド(IaaS)に移行するとなれば、OSのアップデートやアプリケーションの改修などに多大なコストと時間がかかってしまいます。

そこで候補に上がったのがVMware製品ベースのクラウドです。「オンプレミスと同じvSphere環境が動くクラウドであれば、古いシステム資産をそのまま移行し、安全に持ち続ける環境を用意することができます」と板倉氏は話します。

複数のクラウドベンダーから提供されているVMware Cloudを検討。その結果、Microsoftから提供されているAzure VMware Solutionを選択しました。

「オンプレミスのvSphere環境では2テラバイトを超えるデータを運用している仮想マシンもあり、今後もディスクの使用量は右肩上がりで増加していくことが予想されます。そうした観点から他のVMware Cloudと比べ、1インスタンスあたりにより多くのディスク容量を割り当てることができるAzure VMware Solutionが、私たちのシステムには最適と判断しました」と板倉氏は、その理由を示します。

また、これと同時にヒューマンリソシアは、クラウド検討の過程で出会ったユニアデックスを導入パートナーに選定しています。

「ユニアデックスはグループ会社自身もAzure VMware Solutionを導入していることから、机上で導き出した解ではなく、自社での実績に基づいたベストプラクティスを提示してくれます。クラウド上での環境構築とオンプレミスからの移行の両方に対応できるSIベンダーとして、とても心強く感じました」と板倉氏は話します。

一方、導入パートナーに選ばれたユニアデックス サービスプロバイダ営業本部 サービスプロバイダ第四営業統括部 営業一部 第二グループ塩崎 泰史氏も、「板倉さんはVMware vSphere環境に関する豊富な経験と高度な運用スキルを持っておられることから、両社が一体となったスムーズなプロジェクトを推進していけると確信しました」と話します。

実質約1ヶ月でのクラウド移行を実現

これまでヒューマンリソシアがオンプレミスで運用してきたvSphere環境では、 2台のホスト上で約20台の仮想マシンが稼働していました。このITインフラの移行先となるAzure VMware Solutionに用意したのが、3ノード構成のネイティブなvSphere環境です。

こうしてヒューマンリソシアとユニアデックスの両社は、2022年4月より移行作業を開始。OVF(Open Virtualization Format)ベースの仮想マシン単位のファイル転送、バックアップツール(Veeam)によるバックアップ/リストア、VMware HCXの活用といった3つのパターンの方法を用いた移行により、同年6月半ばまでの実質約1ヶ月程度ですべての作業を終えることができました。

「一般的にオンプレミスからオンプレミスへの移行でも半年程度は要することを考慮すれば、これは驚くべきスピード感です」と板倉氏は話します。

ちなみにVMware HCXとは、レプリケーション機能を活用した仮想マシンの移行やvMotion を活用し仮想マシンを起動したまま移行する機能などを提供しています。オンプレミスのデータセンターのネットワークをAzure VMware Solutionへ延伸する機能と併用すればオンラインのまま仮想マシンを移行できます。

ユニアデックス クラウドビジネス本部 クラウドビジネス統括部 マルチプラットフォーム部 四課の中浦 猛氏は、「Azure ExpressRouteを利用するために必要なデータセンター側のネットワーク環境を調達するのに時間を要してしまい、VMware HCXの利用は移行の終盤となってしまいましたが、もし最初から利用できていたとすれば、もっと短期間で作業を完了できたと思います」と話します。

いずれにしてもこうしたスピーディな移行を実現できたことで、ヒューマンリソシアは社内のエンドユーザに向けて、潤沢なリソースを持つクラウドからのより安定した基幹システムのサービス提供という次のステップに早期に向かうことができました。

「仮に自力で一連の作業を行っていたとすると、さまざまなリファレンスを理解するのも容易ではなく、途中でつまずき挫折する可能性がありました。その意味でもAzure VMware Solutionおよびクラウド上へのアプリケーション実装などに豊富な知見を持つユニアデックスの貢献は、非常に大きいものがありました」と板倉氏は、今回のプロジェクトの成功要因を語ります。そして、同様にクラウド移行を検討している企業に向けて、「クラウドへの移行には手間がかかり、新たなネットワーク構築も必要となるなど、面倒に感じて二の足を踏む方が少なくありませんが、しっかりした知見を持つパートナーを選べばそれほど苦労はありません。5年後のITインフラも今のままでよいのかと自らに問い直し、勇気をもって踏み出すことが大切です」と助言を送ります。

今後さらなるコストメリットを発揮

実際、vSphere環境を丸ごとクラウドに移行したことで、ヒューマンリソシアにおけるシステム運用は大きく変わりました。

「オンプレミスでシステムを運用する中ではどうしてもベンダーに依存せざるをえない部分が多かったのですが、Azure VMware SolutionのシンプルなネットワークにVMware NSXを組み合わせることで、さまざまなテストを自社から行えるなど、殆どのインフラの運用タスクを内製で対応できるようになりました」と板倉氏は話します。

また、リプレースに伴うコストを最小限に抑えられたことも、クラウドを活用した大きなメリットと捉えられています。前述したとおり旧環境と同等の環境をオンプレミスで準備した場合、従来の1.3~1.5倍の費用がかかると予想されたのに対して、Azure VMware Solutionを選定した今回の費用はベンダーに支払う運用費まで含めても、トータルコストは旧環境と同程度で済みました。「Azure VMware Solutionのリソースは旧環境と同程度のトータルコストで、3倍以上のスペックであるため、仮想サーバ基盤の余力はまだまだあります。現在は他のクラウド上で運用しているシステムも順次こちらに移行してくることで、今後さらなるコストメリットを発揮できる見込みです」と板倉氏は話します。

ヒューマンリソシアは今回導入したAzure VMware Solutionの環境を、最低でも今後5年間は維持していく意向です。労働力不足や業界内での競争の激化といった多くの困難が待ち受ける中で自社の優位を確立すべく、DX推進に必要なさまざまなワークロードをAzure VMware Solutionに実装し戦略的に活用していく構えです。

プロジェクトメンバー

ヒューマンリソシア株式会社 事業戦略推進本部 DX推進室 マネージャー 板倉正 氏
ヒューマンリソシア株式会社
事業戦略推進本部
DX推進室 マネージャー
板倉正 氏
ユニアデックス株式会社 サービスプロバイダ営業本部 サービスプロバイダ第四営業統括部 営業一部 第二グループ 塩崎 泰史 氏
ユニアデックス株式会社
サービスプロバイダ営業本部
サービスプロバイダ第四営業統括部
営業一部 第二グループ
塩崎 泰史 氏
ユニアデックス株式会社 クラウドビジネス本部 クラウドビジネス統括部 マルチプラットフォーム部 四課 中浦 猛 氏
ユニアデックス株式会社
クラウドビジネス本部
クラウドビジネス統括部
マルチプラットフォーム部 四課
中浦 猛 氏

お客様情報

お客様名 ヒューマンリソシア株式会社
WEBサイト https://resocia.jp/
カスタマープロフィール 総合人材サービス会社として、人材派遣、人材紹介、業務受託サービスを全国27拠点で展開。1988年創業以来、教育事業をバックボーンに多彩なサービスを展開するヒューマングループの総合力を活かし、「人材」に関する幅広いサービスを提供している。
導入パートナー ユニアデックス株式会社
導入製品 Azure VMware Solution

※本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記載内容は2022年9月現在のものです。

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